2021年の1月にFP1級の学科試験を受験して、無事一発合格いたしました。
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ただ、FP1級と公式に名乗るためには「学科試験」だけではなく「実技試験」もパスする必要があるのです。
そこで今回は「実技試験までの勉強方法」と「実技試験の内容」についてお伝えします!
合格率(2021年1月)を見ると、「学科試験」の合格率が9.95%に対し、「実技試験」の合格率は85.27%。
楽勝と思われそうな数字ですが、実際はそうではなかったのです。
FP1級学科の合格発表が2021年3月5日でした。
そこで「合格」と判明!
すっかり気がゆるみきったところに、きんざい(金融財政事情研究会)より実技試験の案内が届きました。
次回の実技試験の実施日時は6月初旬とのことでしたが、ひとつ問題があって申し込むか躊躇しました。
というのも、受験費用がめちゃくちゃ高いのです。
その金額は……
25,000円
試験受けるだけやのに……ちょっとした温泉旅行に行けるやん。
少し時期を待って「FP協会」の実技試験を選択すると受験料は20,000円なのですが、五十歩百歩ですよね。
「もうきんざいで受験してさくっと合格しよう」と試験の申込をしたのでした。
FP1級のシステムがややこしいのは協会が2つあるということです。
「きんざい(金融財政事情研究会)」と「FP協会」です。
FP1級の実技試験に関していうと、どちらを見ても合格率はそんなに大差ありません。
(FP協会のほうが90%の合格率をたたきだす年度もあるので、合格しやすいようです)
ただし、両者の試験内容がまったく異なってくるのです。
何が異なるかというと、きんざいは「面接試験」、FP協会は「筆記試験」ということ。
試験に対するアプローチがまったく違うのです。
面接、すごい苦手です……
私は「きんざい」で受験するため、面接試験のためにけっこうな準備を覚悟しました。
実技試験用の勉強を開始したのは2021年5月16日。
学科試験の合格発表からじつに2ヶ月以上も経過していたのです、Lazyですね。
なぜ実技試験の勉強を放置していたかというと理由は次の2つ。
完全に舐めてかかったのです。
合格率が9%台の学科に受かったから合格率85%の実技試験に落ちるわけないよね。
この考えが間違っているを後ほど思い知ることになるのです。
私は5月16日からの3週間は集中的に勉強することにしました。
傾向と対策を把握するために使ったテキストは以下の過去問だけです。
「FP技能検定1級実技(資産相談業務)対策問題集【第七版】」
きんざいの実技試験の対策としてはこれしかないので、ほぼ独占状態です。
そして、対策としてはこのテキストで十分ですよ。
過去問を網羅しており、解答や解説はとても丁寧です。
学科試験をクリアした猛者であれば、この過去問を利用して要点を復習するだけでいいかと思います。
一つ注意点としては、問題形式が学科試験とはまったく異なること。
実技の内容は比較にならないほど「実務的」であり、かつ「具体的」であることに戸惑うかもしれません。
具体的な事例をたくさん勉強できるので、学科よりもだんぜん面白いですよ。
これこそ実技試験の醍醐味なので楽しく勉強しましょうね!
さて実技試験当日になりました。
試験がどのように行われたのかを私の事例をお伝えしますね。
2021年6月6日。
西新宿の受験会場に向かう直前まで私はカフェでひたすら要点をまとめていました。
そして現地に到着。
そして、ここから地獄の3時間が始まることになりました。
ざっくりと図解をまじえて解説してみます。
まず、集合時間になったら教室に集まります。
ここで一つの違和感を感じました。
受験生みんなスーツ姿やん。
服装についての指定はなかったはずですが、誰一人として私服は見当たりませんでした。
受験される方はくれぐれもスーツで臨みましょう。
(私服だとすごい浮きます)
その後、グループ単位で別の小さな教室に移動されます。
ここを「待機室」と呼ぶことにしましょう。
私を含めて10名の受験生がこの教室で待機することになりました。
私の席は一番うしろ。
この待機室ではスマホなどの電子通信機器の利用は禁止されています。
ただし、紙媒体の参考書やノートなどは見てもOKです。
皆さんひたすらノートや参考書を広げていました。
ちらっと見たところ、皆さん勉強に専念してきた様子が垣間見れました。
テキストは使い古しているし、ノートはボロボロ。
さすが難関の学科試験をくぐり抜けてきただけあります。
ここにきて、私はこう思ったものです。
やばい、実技試験を舐めすぎていた!
後の祭りですね。
まず、試験官から試験の概要を説明されました。
前の席から順番に名前が呼ばれて、呼ばれた人は後ろの「閲覧席」に移動します。
その後、15分間、設問を読んでから面接会場へと移動する流れです。
ここで予期しない事態に遭遇しました。
なんと後ろの閲覧席では資料の持ち込みができないことが判明したのです!
うそやん!テキストとかノートを見ずに設問を解かないといけなかったの?
舐めていました!
待機室の自席では資料を見ることができるのですが、設問を閲覧するときは資料持ち込みは禁止なのです!
筆記用具だけ持ってうしろの閲覧席に移動しなければなりません。
ちなみに、きんざいから送られてきた試験概要には次のような説明がありました。
「待機中の自習は、紙媒体の参考書等でお願いします。」
私はてっきり「参考書をみながら設問を解くことができる」と思い込んでいたのです。
甘かった……。
幸いにして私の順番は一番最後だったので、この待機中の1時間弱で必死に要点をつめこむことにしました。
絶対に出題されるポイントである「事業承継」「遺言書」「納税資金の確保」「相続税の軽減」「円滑な遺産分割」などの短期記憶として詰め込むこと鬼の如し。
やがて順番がきて名前が呼ばれて、閲覧席へ。
試験官から設問が渡されて、ふたたび驚愕することになりました。
なにこれ?事業承継の問題しかないやん!
過去問を勉強する限りでは、「だいたい6つほど課題を指摘してその解決方法を提案する」という流れになると予想していました。しかし、設問をみたところ6つどころか「事業承継」の一つしか課題が見当たりません。
時は一刻一刻とすぎていきます。
頭がパニックになりました。
えと、自社株の評価額はどれくらいか、そして相続になったらどうなるか?
相続税額は軽減できるか?そもそも不動産は保有していないか?誰が事業承継するか?
えーと……
完全に冷静さを失い、あたふたしただけで15分間の閲覧時間が終了。
ついに面接会場へと移動することになったのです。
面接は合計2回行われます。
1回目の面接の設問は「相続と事業承継」でしたが、混乱してしまったため十分な整理ができませんでした。
緊張のまま面接会場のドアをノックして入室すると、こんな感じでした。
右に年配の男性、左に女性の面接官がいらっしゃいました。
ここから怒涛の質疑応答がスタートします。
質問内容として記憶しているのは次のとおりです。
問題点を見つけ出すにはある程度のテンプレートがあります。
今回は事業承継がメインテーマだったのですが、強引に相続問題にこじつけることにしました。
相続した場合を仮定して、相続税額の引き下げのための施策を語ったのです。
しかし、男性の面接官は冷静にこう指摘しました。
株式の相続税評価額のケタを間違えていませんか?
なんと、さきほど閲覧席で焦って計算したので、株式単位を間違えていたのです。
4億円を40億円と早合点してしまったので、それは速やかに訂正しました。
しかし、FPとしては致命的すぎるケアレスミスです。
また、男性の面接官は相続以前にチェックするべきことがあることを指摘してくれました。
事業承継についてですが、このケースでは業種は何ですか?
洋菓子屋さんです。
でしょう?
もしこのケースで外資系企業で勤めている長男が事業を引き継いだらどうなりますか?
社風が全く異なる可能性もありますので、スムーズに経営ができるかは保証できないかもしれません。
それも課題の一つではないのですか?
その通りでございます……
基礎的なことですが、FPとしての専門的な知識以前に「常識で考えると分かるような課題」こそ真っ先に考えないといけないのです。
面接官に誘導される形にはなりましたが、新たな課題を発見した私はその解決策も述べることができました。
最後にお決まりの「FPの職業倫理」を問われるのですが、これは絶対に落とせません。
逆にこれだけは満点をとらないといけないので、私も6つの職業倫理を述べました。
すると、面接官はこう言ったのです。
では、その職業倫理の中で本件で一番重要と思われる倫理は何ですか?
まったく想定していなかった質問に私は「え?」と狼狽したのちに適当に答えました。
どの倫理事項も重要ではありますが、その中でも「顧客に対する説明義務」が重要であると考えております。
それで質疑は終わりませんでした。
そのこころは?
まさかの「なぞかけ」?
私は気が動転してしまい、言い訳めいた理由を捻り出そうとしたのですが意味不明に。
このケースでは、、株主構成をみても、、、家族内の事業承継が想定されるので、、、明確に説明する義務があり、、、
ここでベルがなってしまい、制限時間終了。
面接の12分が終わりました。
はい、お疲れ様でした。
勉強してきた内容を発揮できなかったことが悔しくてたまりませんでした。
1回目の面接で失敗してしまったので、次は落とせない。
待機室に戻った私は、不動産の設問で巻き返しを狙うべく復習に励みました。
面接までの流れとしては1回目と同じです。
待機室で自習して順番がきたら閲覧席で設問を読み解きます。
1回目の面接から1時間ほどのインターバルがあるので、気持ちが途切れそうになります。
しかし、こちらは25,000円も払って受験している身です。
なんとか合格したい!
2回目の面接は、温和そうな男性面接官と柔和な女性面接官でした。
ある程度面接スタイルに慣れたこともあって受け答えもはきはきとできたと思います。
なにより面接官のかたがフォローしてくれたのでリラックスできました。
ただ、面接の制限時間内に質疑を終えることができず、時間をかなりオーバーしてしまいました。
これもかなり減点対象となりそうですね……
2回の面接を終えた私はまったく手応えを感じることなく、不合格を覚悟しました。
1ヶ月とはいえ、集中的に勉強してきただけに面接でこれほどまでに玉砕するとは予想外でした。
もし不合格であれば敗因は一つです。
合格率が8割を超えるので舐めてかかったこと。
でもよく考えてみてください。
すでに9%の合格率をくぐり抜けてきた猛者のなかで上位80%に入らないといけないのです。
母集団のレベルが違います。
確率論で考えると、待機室のなかにいた10人のうち1人は不合格になる計算になります。
みた限りでは私以外はみなさん間違いなく合格してるよね……
私以外はめちゃくちゃ優秀そうに見えたのでこう思っても当然かも。
受験料の25,000円が水の泡か……
こうして私のFP1級実技試験のファーストトライアルが終わりました。
FPの世界もそう甘くはないですよね。
今回得た教訓はやはり「合格率で判断するな」ということです。
先述したように最先鋭が揃っているなかで上位85%に入らないといけません。
結果はまたご報告します!
【2021年7月23日追記】
無事合格していました!
絶対に落ちていたと思ったのですが、得点は120点/200点中というギリギリ合格でした!