「お金」「法律」「英語」などの教育を考える個人サイト

じつは「再就職手当」や「就業促進定着手当」をもらってもおトクとはいえない説



仕事をやめてしまった!
再就職手当をもらうために頑張って速攻で仕事を探してやる!


「再就職手当をもらうこと」を目標ではなく、
焦らずに就活したほうがいいのでは?


失業したあとに早期に再就職すると受給できる「再就職手当」は非常にすばらしい制度です。
ブランクが長くなると就職に不利になる可能性が高くなるので、早く就業先が決まることは失業者にとっても国にとっても「WinWin」ですよね。

ただ、再就職手当というのは「本来もらえるはずの失業手当(基本手当)を前払いしているにすぎない」という側面もあるのではないかということをふと考えています。

そのため、自分の人生をじっくり考えたい人にとっては、焦って就活をするのではなく将来をじっくり考えてみてはいかがでしょうか?

記事が長くなってしまったので先にまとめを書きますね!

【今回のまとめ】

  • 「失業から雇用保険の受給資格喪失」まで大きく5パターンに分類される。
  • じつは再就職してもしなくてもハローワークからの手当金額総額はほぼ同じ。
  • しかし例外が1つだけある。
    前職よりも給与が高い職場に再就職したため、就業促進定着手当をもらえなかった場合。
    その場合は、受給される手当金は低くなる。
  • 結局のところ「再就職手当」というのは基本手当の前払いなので、自分に合った仕事をじっくり探すことも一つの手です。

「再就職手当」や「就業促進定着手当」をパターンで考える

ここからは具体的なケースを想定して考えていきたいと思います。
職を失ってから失業手当(基本手当や再就職手当など)の期間が終了するまでいくつかのパターンがあるので5つのケースに分けて考えましょう。

失業後のシナリオの5パターン

今回は失業してからのパターンを以下の5つに分けて考えたいと思います。

(図1)失業してからの5つのパターン



以下で少し解説してみます。

パターン1」は再就職できた上に「再就職手当」と「就業促進定着手当」の両方を受給した場合。
(⇨再就職から6ヶ月を無事に在籍でき、かつ給与が前職よりも低かったというケース。)

パターン2」は再就職できて「再就職手当」を受給したけど、離職してしまったため「就業促進定着手当」は受給できなかった場合です。(再就職から6ヶ月以内に離職したら不支給となる)

パターン3」は再就職できて「再就職手当」を受給したけど、給与が前職よりも高いため「就業促進定着手当」は受給できなかった場合。

パターン4」は再就職できたけど「再就職手当」も受給できなかった場合。もちろん「就業促進定着手当」も受給できません。
(⇨再就職からすぐに退職してしまった場合。ケースとしては少ないかもしれません)

パターン5」は再就職ができなかった場合。
(⇨「再就職手当」も「就業促進定着手当」も受給できません)



おそらくこれで全てのパターンが網羅されていると思いますが、もし過不足ありましたら教えてください!



手当金の合計額についての試算

次にハローワークから受給される手当金が各パターンでどのように異なるのかを検証してみましょう。

話をシンプルにするために、前提条件は以下にしました。

  • 基本手当日額:5,000円
  • 所定給付日数:90日
  • 基本手当を20日受給後の就職日(残日数は70日)
  • 「就業促進定着手当」は、上限額を受け取ることとする。

そして、この条件のもとで各パターンで受け取る「手当金」を次のようにまとめました。




各パターンの計算式については括弧内で示しています。(計算過程は省略)

さて、これをみると明らかに分かることがあります。


せっかく安定して働いても損をするケースがある!


結論からいうと、

どのパターンも手当金の合計はほぼ同じ金額!



なのです。

つまり、再就職手当をもらおうがもらわないが、就業促進定着手当をもらおうがもらわないが、就職してすぐに退職しようが、さらには再就職をしなかろうが、ハローワークから支給される手当金合計は変わらないのです。

「基本手当」や「再就職手当」「就業促進定着手当」と名称こそ変わっておりますが、実質的にはハローワークから受け取るお金という意味では同じです。

(細かいことを言うと、「再就職手当」「就業促進定着手当」はまとめてもらえるので金利分の効果はあります。また、上記の「パターン1」「パターン2」「パターン3」は就業した分の給与が発生しますのでその分は収入が多くなります。
ただ、ここでは「ハローワークから直接支給された金額」という意味で同一金額とお話しています。)



これ、少し意外ですよね!



ただし、一つだけ例外があることに気づきます。
パターン3です。



再就職手当だけ受給した後に6ヶ月以上働いたけど、就業促進定着手当を受給できなかったパターンです。ざっくりというと、「再就職先が前職よりも給与が高かった場合」が該当します。

手当支給合計額という観点だけみると、じつはこのケースが一番割を食っているのです。
パターン2と比較すると就業促進定着手当の分だけ支給額が低くなるからです。

長期的に就業しているのは「パターン1」と「パターン3」のはずなのに、「パターン3」の手当金が一番低い……。

このように考えると、個人的には「再就職手当」と「就業促進定着手当」は制度設計にミスがあるような気がします……

ちなみに、私も「パターン3」に該当した経験があります。
パートタイムで再就職したときに、就業促進定着手当を申請したら不支給になったのです。
なんか損した気分になりました……


そのときの記事はこちらなのでご参考にしてください。



「再就職手当」は単なる前払いにすぎない?


最後に、もう一度上の図2をじっとみてみましょう。


「パターン1」と「パターン2」と「パターン3」は「再就職手当」を受給しているケースですね。
残日数が3分の2以上残っているので支給率は70%です。

この3パターンの再就職手当の計算式は以下になります。

基本手当日額(5,000円)✖️残日数(70日)✖️支給率(70%)=245,000円


そして、再就職手当を受給した後に会社を退職してしまった「パターン2」をみてみましょう。
なんと退職後に「基本手当」が復活しているのがわかります。

前回の記事「再就職手当を受給する前後に会社を辞めても全然問題ない件【3つのシナリオで考えよう】」でも記したように、残日数がある場合、ハローワークに支給再開の手続きをすることによって「調整」後の基本手当が支給されることが可能になります。

ここでの失業手当の計算式は以下になります。



基本手当日額(5,000円)✖️残日数(70日)✖️調整後支給率(100%−70%)=105,000円



ようするに、再就職手当で7割分(49日)を前払いしたから、残りの3割分(21日分)を基本手当として支給するという仕組みになっているのです。

こう考えると、再就職手当は単なる基本手当の前払いにすぎず、退職してしまった場合に残日数分が保険として機能していることがわかります。

再就職手当だけを目指すだけが合理的な選択ではない。

ハローワークから再就職手当の説明を受けて、再就職手当へのインセンティブを与えられた人も多いでしょう。また、失業保険だけでは生活費をまかなえないために焦って早期就職を目指して失敗したケースも多いと思います。

私もそうでした。
焦りのために吟味しないまま、就職先に飛びついたために短期離職したこともあります。
そうなると逆にキャリアが汚れてしまうのです。

「基本手当の前払い」という性質を考えると、必ずしも「再就職手当」や「就業促進定着手当」をもらうことが合理的な選択ではありません。


各自の方向性をもってプランニングすることが大事になってきます。


再就職手当は魅力的ですが、せっかく時間ができたので自分の適性や方向性を見直すいい機会です。
手当をもらうことだけを考えずに、焦らずにじっくりと今後のことを考えるのもいいかも!




【お知らせ】

ココナラというスキルシェアサービスで失業相談を始めました!
ここだけしか話せない失業手当で損をしないための方法」や「今後のキャリアについて」などのご相談を受け付けていますのでお気軽にどうぞ!

失業手当や再就職手当などハローワーク制度を教えます 40歳以上で失業してしまった方を全面サポートします

この記事を書いたのは私です

ケンタ
ケンタ
1級ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士。
【経歴】1977年兵庫県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、多種の業界で管理部門をほぼ経験しました!(IT、経理、経営企画、財務、人事、マーケティング)
【得意分野】人生設計やプラン作成、分かりやすく説明したいです。
【趣味】カフェめぐり(日本全国のスタバ旅など)グルメ、ストイックな勉強。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です