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知る人ぞ知る!再就職手当の8要件から考える「これからのハロワとの付き合い方」

よし、再就職が決まりました!
なにやら再就職手当というものがもらえるようですね!

おめでとうございます!
その前にハローワークからもらった「受給資格者のしおり」を読んでくださいね。

「受給資格者のしおり」を読んでいる人は少ない!


失業してしまったら早く再就職したいかたも多いでしょう。
そのときに知っておきたいのが「再就職手当」という一時金です。

最近、ハローワークでも積極的に「再就職手当」を推し進めているので巷でも認知されてきたようです。

私もはじめて再就職手当をもらったときは「こんな制度があるのか」と感動したものです。



ただし、一点注意点があります。

この「再就職手当」を受給するのには8つの要件(以下「8要件」)を満たす必要があるのです。
詳細はハローワークから初回の手続き時にわたされる「受給資格者のしおり」という冊子に掲載されています。
しかし、これを熟読しているかたは少ないようですね。

(これが「受給資格者のしおり」。右が平成28年版、左が最新の令和2年度版です。)


じつは、この「8要件」を読み解くことが「再就職手当」のカギをにぎるのです。

そもそも「受給資格者のしおり」を読み込んでいる人が少ないので、再就職手当をフルに利用できない人も多いんですよね……

そもそも「再就職手当の8要件」とはなにか?

まず、再就職手当を受給するための8つの要件(令和2年10月時点)をみてみましょう。
(「受給資格者のしおり」から抜粋)

  1. 1年を超えて勤務することが確実であること。 (生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。)
  2. 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと。
  3. 待機期間が経過した後職業についたこと、または事業を開始したこと。

  4. 給付制限を受けた場合には、最初の1か月間については、安定所または職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること、または、最初の1ヶ月が経過した後事業を開始したこと。
  5. 就職日前3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
  6. 求職申込みを行い、受給資格者であることの確認を受けた日より前に採用内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
  7. 再就職手当を支給することが職業の安定に資すると認められること。
  8. 新たに事業を開始した場合、当該事業により受給資格者が自立することができると認められるものであること。

再就職手当をもらうにはこれらの要件をすべて満たす必要があります。

ただし大前提として、所定給付日数の3分の1以上が残っている必要があります
現制度の大きな特徴として2段階制度を導入しているので、残日数が3分の1以上であれば60%、3分の2以上であれば70%の支給率となるのです。

早く就職が決まると支給率が高くなるんですね!


これはハロワ職員が口を酸っぱくして説明するので理解できるかと思います。

ここではもう少しつっこんだ話をしてみましょう。

再就職手当の8要件の変化から知るべきこそとは?

先ほども述べたように平成23年と平成29年というタイミングで雇用保険は大きな制度変更をしました。
そのなかでじつは「要件」が微妙に変わっているのです。

特に平成29年の制度変更では大きな変化がみられました。
どう変わったのでしょうか?

実際に、変更前の「再就職手当のご案内」から「8要件」を見てみましょう。

1 受給手続き後、7日間の待期期間(※)満了後に就職、又は事業を開始したこと。

2 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。

3 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。

4 受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方 は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。

5 1年を超えて勤務することが確実であること。 (生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又 は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。)

6 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。

7 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始に係る再就職手当も含みます。)

8 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。

9 再就職手当の支給決定の日までに離職していないこと。

「再就職手当のご案内」ハローワーク サイトより

ここでクイズです!
さきほど見た令和2年度の8要件とどうちがうでしょうか?
ちょっと考えてみてください。

言い回しや順序などは微妙に変わっていますが、大きく変わったのは次の2つです。

(変更前)「6 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。

(現在)「再就職手当を支給することが職業の安定に資すると認められること。

(変更前)「9 再就職手当の支給決定の日までに離職していないこと
→(現在)なくなっている

つまり、要件が少しゆるくなっているのがわかります。
平成29年より前では、再就職した会社の雇用保険に加入していないと支給対象外でした。
また、再就職手当が支給される前に離職してしまったら原則として支給されないようでした。

ところが、現時点での再就職手当の要件はこれらが緩和されております。
これは何を意味するのでしょうか?


今後のハローワークではコミュニケーション能力が必須になる!


「再就職手当」の申請は郵送でも直接窓口でもOKです。
窓口申請した場合、職員のかたがその場で書類を簡単にチェックしてくれます。
その上で受理後、正式にハローワークで上記の要件を満たすかどうかを確認する流れになります。

一つ言えることは、これからの失業者はハローワークとはうまく付き合っていく必要があるということです。
つまりある程度の「コミュニケーション能力」が要求されます。

失業者にとってハローワークは情報の宝庫です。
就職だけでなく金銭的なサポートをしてくれる制度や施設、情報を提供してくれます。
それらをうまく引き出すスキルがあると断然有利になります。

また、先述したように現在は再就職手当の要件がゆるくなっているので、個別のケースで判断する機会が増えると思われます。

つまり、ケースによって再就職手当が支給されるかどうかは解釈の余地が残されることになっているのです。

そのとき、自分の状況を上手にハローワーク職員に説明するというプレゼンテーション能力も求められます。

再就職手当の8要件が変遷した経緯を考えると手当がもらいやすくなった反面、ハローワークとの付き合い方をブラッシュアップすることも必要となったのです。



なかなかシビアな世界になりましたね……



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(これからの失業戦略は制度から考えましょう!)

この記事を書いたのは私です

ケンタ
ケンタ
1級ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士。
【経歴】1977年兵庫県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、多種の業界で管理部門をほぼ経験しました!(IT、経理、経営企画、財務、人事、マーケティング)
【得意分野】人生設計やプラン作成、分かりやすく説明したいです。
【趣味】カフェめぐり(日本全国のスタバ旅など)グルメ、ストイックな勉強。

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