この「50代の終活講座」も今回が最終回!
ラストのテーマは「遺言書」です。
遺言書と聞くと、「死への準備」や「縁起が悪いもの」というネガティブなイメージを持つかもしれません。しかし、わたしが考える「人生後半戦の心の持ち方」において、遺言書は財産の分け方を指定するだけのものではありません。
これまでの人生や人間関係を整理して、自分に万が一のことがあったときの家族の安心を確保することは、心の重荷を下ろすことにつながります。これからの残りの人生をより身軽に、前向きに楽しんでリスタートするためのひとつのツールが「遺言書」なのです。
特に、事実婚のパートナーなど法律上の相続権がない人に財産を遺したい場合や、お世話になった団体へ寄付をしたい場合などは、生前に遺言書を書いておくことが「絶対条件」となります。
自分の意志を大切な人へ確実に届けるための書き方を、一緒に見ていきましょう!
遺言書を作成する際、主に使われるのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。
どちらを選ぶべきか、それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
自筆証書遺言のメリットは、紙とペンと印鑑さえあれば、いつでもどこでも、費用をかけずに手軽に作成できることです。
内容を誰にも秘密にすることができます。
デメリットは、法律で定められた書き方のルールが厳格で、少しでも間違えると「無効」になってしまうリスクがある点です。また、死後に発見されなかったり、一部の相続人に改ざん・隠蔽されたりする危険性もゼロではありません。
公正証書遺言のメリットは、「公証役場」という公的機関で公証人が作成するため、形式の不備で無効になる心配がないことです。原本は公証役場で安全に保管されるため、紛失や改ざんのリスクも防げます。
デメリットは、作成には財産額に応じた数万円からの手数料がかかることです。
また、証人2名の立ち会いが必要なため、内容を完全に秘密にすることはできません。
人生後半戦の安心を確実なものにするなら、やはり「公正証書遺言」をおすすめします。
多少の費用と手間はかかりますが、「自分の死後に手続きで絶対にもめたくない方には安心感を担保できます。
コストを考えると「自筆証書」ですが、
トータルの安心を考えると「公正証書」ですよね。
それでも「自筆証書遺言で書いてみたい」という場合は、法律で定められたルールを守る必要があります。
以下の3つは、1つでも欠けると遺言書全体が無効になってしまう「絶対ルール」です。
パソコンで打った文章を印刷したものや、他人が代筆したものは無効です。
必ず本人が自分の手で書いてください。近年ルールが緩和され、別紙として添付する「財産目録」のみパソコン作成が認められるようになりましたが、その場合でも全ページに署名・押印が必要です。
「令和○年○月○日」と、特定できる正確な日付を自筆で書きます。
「令和○年○月吉日」といった書き方は、日付が特定できないため無効となります。遺言書は「一番新しい日付のもの」が有効になるため、日付は極めて重要です。
自分の名前をフルネームで自筆し、必ず印鑑を押します。
印鑑は「認印」でも法律上は有効ですが、本人の意思であることをより確実に証明するため、実印を使用するのが実務上の鉄則です。
さすがにシャチハタはNG。
「自筆証書遺言」には、紛失や改ざんのリスクがあると先ほどお伝えしましたが、実はその弱点をカバーする便利な仕組みが2020年から始まっています。
それが、作成した自筆証書遺言を法務局に預かってもらえる「自筆証書遺言書保管制度」です。
この制度を利用するメリットは、主に次の4点になります。
遺言書の原本は法務局で安全に保管されるため、誰かに破棄されたり見つけられなくなったりする心配がありません。
法務局の窓口で提出する際、日付や署名の有無といった外観の不備がないかを職員が確認してくれます。ただし、内容そのものの有効性を保証してくれるわけではない点には注意が必要。
通常の自筆証書遺言は、死後に裁判所で「検認」という面倒な手続きを行わなければなりません。
保管制度を使っていれば、その手続きが丸ごと免除されるため、残された家族の負担が大幅に減ります。
保管制度には手数料がかかりますが、1件につき3,900円(2026年5月時点)。
「公正証書遺言」に比べてかなり費用を抑えることができます。
手軽に書きたいけれど安心感も欲しいという方は、この法務局の保管制度を活用してみるのも一つの手ですね。
遺言書には、誰にどの財産を渡すかという法律的な指示だけでなく、家族への想いやメッセージを自由に書くことができる項目があります。これを「付言事項」と呼びます。
付言事項に法的な強制力はありません。
しかし、実はこれが「争族」と呼ばれる家族間の相続トラブルを防ぐ最大の特効薬になるのです。
たとえば、「長男に実家の土地を相続させる」とだけ書かれた父の遺言書を見たら、次男は「どうして兄貴だけズルいんだ!」と不満を持つかもしれません。
しかし、そこに以下のような付言事項が添えられていたらどうでしょう。
長男には実家を継いでもらい、同居して母さんの最期まで面倒を見てくれたことに心から感謝しています。だから実家の土地は長男に託します。次男には、遠方からいつも気遣ってくれたこと、本当に嬉しかったです。少しばかりですが現金を遺します。
2人とも、どうかこれからも兄弟仲良く助け合って生きていってください。お父さんは幸せな人生でした。ありがとう。
こんな遺言を読んだら泣きますよね。
法律の冷たい文章の最後に、体温が伝わるメッセージを添えることで、残された家族は「お父さんがそこまで考えて決めたことなら」と納得しやすくなります。
遺言書は、あなたから家族へ宛てた「最後の手紙」でもあります。
これまでの感謝を形にすることで、あなた自身の心も整理され、スッキリとした気持ちで明日からの人生をすすめるはず。
自分自身のこれからをより充実させるためにも、まず自分の想いを書き出すことからはじめてみましょう!
これまで本を書き、旅を重ね、資格取得を通じて「人生の再出発」を経験してきました。
現在は、2026年の行政書士登録に向けて準備を進めています。
わたしのテーマは「制度を理解して人生の次の一歩を支えること」。
人生の転機に関わる次の3分野に取り組みたいと考えています。
・外国人の在留資格などの国際業務
・補助金・助成金の活用支援
・遺言書・エンディングノート作成サポート
これらの制度は難しく見えますが、知っている人にとっては「強力な味方」になります。
行政書士登録後の活動や準備の様子は、順次発信していきます!
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これまで17冊の電子書籍を出版しています。
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