身内が亡くなると、お通夜や葬儀、役所への届け出など、悲しむ間もなく怒涛のような日々が過ぎていきます。
わたしは2年前に母親を亡くしましたが、葬儀のあとにドッと異次元の悲しみが押し寄せてきました。
関連記事:母親が亡くなった。何かが吹っ飛んだ。
さて、相続手続きで最もおそろしいのは、「法律で期限がガチガチに決まっている手続きがある」ということです。
後から「知らなかった」では済まされない落とし穴を避けるため、まずは全体のロードマップから確認していきましょう。
基本的に相続手続きには「3つの重要なタイムリミット」があります。
スケジュールをリストにまとめてみました。
| 時期 | やるべきこと・手続き | 過ぎてしまった時のリスク・落とし穴 |
| 3ヶ月以内 | 相続放棄・限定承認の判断 | 期限を過ぎると、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐ(単純承認)ことになります。 |
| 4ヶ月以内 | 亡くなった人の確定申告(準確定申告) | 故人に個人事業や不動産収入、高額な医療費控除などがあった場合、代わりに申告が必要です。遅れるとペナルティの税金がかかります。 |
| 10ヶ月以内 | 相続税の申告と納税 | 期限に1日でも遅れると、本来使えるはずの「配偶者の税額軽減」などの特例が使えなくなり、多額の税金を課される恐れがあります。 |
10ヶ月もあるなら、四十九日が明けてからゆっくり考えたらいいか。
これは大間違い!
第一回で説明した「相続財産」の調査や、「誰が何をどれだけもらうか」を話し合う「遺産分割協議」が難航すると、あっという間に10ヶ月が経過してしまいます。
参考記事:【50代の終活シリーズ①】「相続のサンドイッチ世代」必見!現状認識から始める自分と家族の財産チェック
話し合いがまとまらない場合、一度は多額の相続税を立て替えて国に納めなければならない可能性もでてきます。
相続税は対象となる方も限られますが、計算してみると相続財産が予想以上だったりします。
だから、この10ヶ月というスケジュールは意外とハードル高いかもしれません。
だれかが亡くなったことを銀行が知ると、その人の名義の口座はすぐに「凍結」されます。
当然、キャッシュカードがあってもお金を下ろせなくなります。
これは、一部の相続人が勝手に預金を引き出して使い込んでしまうような、親族間のトラブルを防ぐための仕組みです。
誤解される人が多いのですが、「銀行が知ると」口座が凍結されるのであって、
死亡届を出したからといって自動的に凍結されるわけではありません!
そのときに親族が困るのは「お葬式の費用」や「当面の生活費」です。
そこで知っておきたいのが、2019年からスタートした「相続預貯金の仮払い制度(払戻し制度)」。
「払戻し制度」とは、遺産分割の話し合いが決着していなくても、他の相続人の同意なしで、「1つの金融機関につき最高150万円まで(*)」なら単独でお金を引き出せる制度です。
(※)正確な上限額は、「死亡時の預金残高×1/3×請求者の法定相続分」か「150万円」のいずれか低い方です。
ただし、窓口に行って「葬儀費用が必要なので150万円ください」と言ってもすぐにはお金は出てきません。
手続きには、亡くなった人の「出生から死亡までの連続した戸籍謄本」や「相続人全員の戸籍謄本」など、大量の書類を提出する必要があります。
これらを集めるだけでも通常2〜3週間、本籍地が遠方にあればそれ以上かかりますね。
結局、お葬式には間に合わないケースが多いため、生前に「葬儀費用分の現金」は手元に残しておくか、別口座に分けておくのが鉄則です。
2024年3月から「戸籍の広域交付制度」が始まり、最寄りの市区町村窓口で全国の本籍地の戸籍を一括請求できるようになりました。これにより、遠方から郵送で取り寄せる手間は大幅に減っています。
しかし、コンピュータ化されていない古い家系の戸籍は対象外だったり、窓口の確認に数時間〜数日待たされたり、結局すべての確認が終わるまで2〜3週間ほどかかるケースは依然として多いのが実情です。
これまで任意(法的な期限なし)だった不動産の相続登記ですが、2024年4月1日から完全に義務化されました。
基本ルールとしては、不動産(土地・建物)を相続したことを知った日から3年以内に名義変更(相続登記)をしなければなりません。
正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料(ペナルティ)が科される可能性があります。
さらに、この法律の恐ろしいところは、「2024年4月より前に発生していた過去の相続」もすべて対象になる(遡及適用される)という点です。過去の相続分については「3年間の猶予」が与えられていますが、その期限は「2027年3月31日まで」となっています。
タイムリミットまであと1年を切っています!
「大昔に亡くなったおじいちゃん名義の山林」や「実家の名義が父親のまま放置されている」という心当たりがある方は、今すぐ動き出したほうがいいですね。
もし親族間の話し合いがまとまらず、2027年3月31日の期限に間に合いそうにない場合は、「相続人申告登記」という救済制度があります。
これは、「私はこの不動産の相続人の一人です」と法務局に申し出るだけの簡易な手続きです。
これを行っておけば、遺産分割協議が長引いて名義が決まっていなくても、とりあえず義務を果たしたとみなされます。
すると、ペナルティ(過料)を回避することができますのでぜひ検討しましょう。
けっこうタイトなスケジュールになりそうですが、行政書士・税理士などの専門家にはいつ相談すべきでしょうか?
結論から言うと、相談のベストタイミングは「できるだけ早く(目安は亡くなってから1ヶ月以内)」です。
「まだ気持ちの整理がつかないから…」と先延ばしにしたくなる気持ちは、痛いほど分かります。
しかし、前述の通り、手続きのスタートラインである「戸籍の収集」や「財産の調査」だけで1〜2ヶ月が簡単に吹き飛ぶかもしれません。
相続に関わる専門家はそれぞれ役割が異なりますが、窓口を一本化するためにも、まずは全体をコーディネートできる専門家に頼るのがスムーズです。
「何が分からないかも分からない」というパニック状態のときこそ、まずは一度プロの頭脳を頼ってみてください!
相続手続きは、悲しみの中でこなすにはあまりにも複雑で、時間的な猶予もありません。
しかし、「知は力なり」です。
全体のスケジュールと「落とし穴」さえ事前に知っておけば、冷静に対処することができるでしょう。
50代からの終活として、自分のときには残された家族が困らないよう、手続きの「流れ」をあらかじめ共有しておくことも、大切な優しさかもしれませんね。
これまで本を書き、旅を重ね、資格取得を通じて「人生の再出発」を経験してきました。
現在は、2026年の行政書士登録に向けて準備を進めています。
わたしのテーマは「制度を理解して人生の次の一歩を支えること」。
人生の転機に関わる次の3分野に取り組みたいと考えています。
・外国人の在留資格などの国際業務
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行政書士登録後の活動や準備の様子は、順次発信していきます!
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