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【賃貸アパートを借りる前に】魅惑の「フリーレント」の3大デメリットを解消する方法


マンションを探しているんだけど、家賃が1ヶ月無料になる「フリーレント」に魅かれてます!契約しようかな。

ちょっと待った!
その前に3つだけ確認してください!


最近、不動産を探していると「フリーレント」という言葉をよく聞きますよね。
しかし、飛びつく前に絶対に確認しないことがあります!

そもそも「フリーレント」とはなに?

「フリーレント」というのは「借り手が支払う家賃がある期間だけ無料になる」という意味です。
フリーレント期間としては1ヶ月(長くて2ヶ月)が相場です。その期間の家賃が浮くので借り手としては「フリーレント」はすごく魅力的ですよね。
最近、フリーレント物件が増えていますので、よく耳にすることもあるでしょう。


しかし、借りる前に「なぜその物件にフリーレントをつけているか?」を考える必要があります。

大家さんがなぜ「フリーレント」をつけているのか?

大家さんサイドから考えてみましょう。

賃貸不動産を貸すときに絶対に避けたいのは「空室リスク」です。
空室になるとその期間はなにも生み出せません。
キャッシュフローがなくなり、大家さんは焦ります。

そこで「フリーレント」という魔法の言葉を使ってなんとか空室を埋めようとするのです。

「フリーレント」よりも「家賃を下げる」ほうがすぐに借り手が見つかるんじゃない?

いい質問ですね!
そこなんですよ。

なぜ大家さんがフリーレントを選択するかというと、「出口戦略」を考えているからです。

ここから先は細かい話なので、少し端折って説明します。


簡単にいえば「出口戦略」とは物件を高く売り抜くために考える施策です。
大家さんは、家賃という「インカムゲイン」だけでなく、保有不動産を売却して「キャピタルゲイン」を得ようとします。そして、高く売却するために「表面利回り」を高くする必要があるのです。

一般的に利回りは「受け取る家賃÷投資額」ですので、家賃を下げると利回りが下がります。
そうなると最終的に物件を売却するときに、利回りが低いと評価されるのです。

そのため、家賃減額よりもフリーレントを利用することが合理的なんですよね。

もう一つ。
家賃を減額するよりも「家賃が無料」というほうがインパクトが強いことも挙げられますね。
「無料」「フリー」「●パーセントオフ」「半額」などのマジックワードは消費者心理からみるとより強力な印象を与えます。

心理効果を最大限に利用するマーケティングも働いているので、借り手はこの事実を差し引いて考えないといけません。

「フリー」という言葉につられずに!


「フリーレント物件」の契約前にこの3つを確認しよう

このように大家さんにとって「フリーレント」は客付けインセンティブの目玉になります。
一方、借り手にとってはフリーレントの意味合いをあまり知らないだけに、安易に飛び付いてしまいがちです。

そのため、フリーレントを利用しようとする方は以下の3つのデメリットを認識するべきです。


  • 「短期解約違約金」
  • 「原状回復費用などの潜在的な費用」
  • 「冷静に判断できない可能性」


これらのデメリットを解消するため、以下のことを不動産屋に確認しましょう。


1)短期解約違約金はあるか?

フリーレントの目的は「一刻も早く入居してもらうこと」です。
しかし、もし入居者がすぐに解約してしまうと、家賃がもらえない上にまた空室になってしまいます。再びお客さんを探す必要がでてくるわけですよね。

また、短期解約の場合でも部屋の汚損や破損などが認められる場合、クリーニングや修繕をしなければなりません。その場合、敷金でカバーできなければ大家さんは金銭的な負担となります。

そこで!
一定の期間に解約した場合、「違約金」として家賃を徴収するという「短期解約条項」があるケースが多いのです。フリーレントで無料にした部分を取り戻すためですね。

残念なことに、多くの不動産会社は事前にこの「短期解約条項」については説明してくれません。
契約前に、できれば物件を紹介してくれるタイミングで絶対に確認しましょう!

私もフリーレント物件を借りたことがありますが、重要事項説明のタイミングではじめて短期解約条項について聞きました。
もっと早めに聞いておけばよかった……

短期解約違約金は1ヶ月か2ヶ月の賃料が相場です。
もし将来的に更新せずに引っ越す可能性がある場合、違約金の分を差し引いて考えるほうがいいですね。

2)現状回復費用はどの程度か?

フリーレント物件に限らないのですが、賃貸物件の契約ではかならず「原状回復費用」について確認しておきましょう。

ひと昔前は原状回復費用は敷金でまかなえたケースも多いですが、最近では敷金を抑えるかわりに特約として「原状回復費用は賃借人の責とする」という項目を盛り込むことが増えたようです。

そのため、退去時に部屋のクリーニングや補修などで原状回復費用がかかった場合、借主にも追加的な負担がかかるケースもあります。

とくに、フリーレント物件の場合は初期費用をおさえる傾向が強いため、敷金を低くおさえがちです。
退去時に多額の「原状回復費用」を徴収される可能性もありますので、これも契約前にしっかり確認しておきましょう。

3)他の物件と比較したか?

フリーレント物件は時間との戦いですので、冷静な判断ができない可能性があります。
オーナーさんも焦っていますし、初期費用をおさえたい他の借主候補も血眼になって「フリーレント物件」「敷金礼金ゼロゼロ物件」を探していますからね。

「他のお客さんにとられてしまうのでは」と焦る気持ちもあるでしょうが、ここはぐっとこらえましょう。

フリーレント物件だけでなく、もう一度自分の希望条件と照らし合わせて他物件も比較検討するべきです。

その結果、「フリーレント物件」よりもよい物件が見つかることもあります。
先述した「短期解約条項」を踏まえると、長期的には「フリーレント物件」よりも合計費用が安くおさえられる可能性もあるからです。

私も事務所を探しているときにフリーレント物件も検討したのですが、冷静に考えるとデメリットのほうが大きかったので断念しました。

これからの時代は誰もが不動産リテラシーが必要となる

「フリーレント」というと一見すばらしい響きがしますが、この魅惑ワードの裏には潜在的リスクもありますよね。

物件を紹介してくれる不動産屋さんは成約すれば歩合などのインセンティブが与えられることもあるので、お客さんに不利益になるような情報は積極的には開示しないかもしれません。

そのため、賃貸物件を借りたい人も自分のお金は自分で守るしかないのです。

今後は「ファイナンシャルリテラシー」とならんで「不動産リテラシー」も重要になってきますね。



最後に繰り返しますが、これからフリーレント物件を借りようとする人は以下を確認してくださいね。

  • 短期解約違約金はあるか?
  • 原状回復費用はどの程度か?
  • 他の物件と比較したか?

これらを検討するときはシミュレーションすることが役立ちます。

あらためて具体的なシミュレーション方法もご紹介します。

この記事を書いたのは私です

ケンタ
ケンタ
1級ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士。
【経歴】1977年兵庫県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、多種の業界で管理部門をほぼ経験しました!(IT、経理、経営企画、財務、人事、マーケティング)
【得意分野】人生設計やプラン作成、分かりやすく説明したいです。
【趣味】カフェめぐり(日本全国のスタバ旅など)グルメ、ストイックな勉強。