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宅建士はまず作図から!権利関係(民法)の基礎学習は4月には始めるべし。【令和5年過去問より】

【おしらせ】
「宅建作図(応用編)」を出版しました!
私が非法学部なのに宅建士に合格できたのは作図のおかげ。

ぜひ作図を極めましょう!

宅建士合格のための最強作図トレーニング: 権利関係テキスト【応用編】

宅地建物取引士の受験生の多くは「宅建業法」から取り組むと思います。
そりゃ、一番出題数が多い科目ですからね。


しかし!時間があるときに取り組むべきは絶対に民法です。
民法は付け焼き刃で太刀打ちできません。

民法の問題をとくのは時間がかかるため、4月あたりから民法の基礎を磨くべきなのです。

宅建業法は暗記の要素が大きい一方、民法は暗記では乗り切れません。
基本を理解したうえで知識を応用しないと解けない問題が多い。

義務教育にたとえると「民法=算数、宅建業法=社会」というような位置づけです。


おそくともGW前には権利関係のテキスト一回転は終えておきたいですね。



民法は図で理解しよう。 

民法は、図が命です。
法律は図を用いてインプットとアウトプットをすると、頭に残りやすい。
そして、問題に対応しやすくなります。


そのため、早い段階から自分なりの図の書き方を研究しておく必要があるのです。


わたしは常々思うのですが、みなさん、図を書かなすぎです!


それもそのはず。
書店では作図方法に特化したテキストなんて見当たらないですよね。
そこで、わたしが実際に活用している手法を紹介したのがこの本です。



宅建士合格のための最強作図トレーニング: 権利関係テキスト【基礎編】 宅建士合格シリーズ


本試験を図で整理する方法(過去問で実践!)

ここで1つ例題を解いてみましょう。
昨年の本試験の問題を取り上げてみます。

令和5年度(問題8)より


これは民法の総則「制限行為能力者」の問題です。
難易度は「やや難レベル」です。

このような問題はABCの人物関係をまず把握することが大事。
そして「問題の論点はなにか?」「各肢で何を聞いているのか?」を図で把握しましょう。


まず以下のような図を書きましょう。

ここでの作図ポイントは次の3つです。


  1. A、B、Cが何者かを横にメモする
  2. アルファベットで関係を表現する
  3. 登場人物の関係を矢印と二重線ではっきりさせる



順にみていきます。

①A、B、Cが何者かを横にメモする

Aは「未成年者」、Bは「法定代理人」、Cは「Aと取引をした第三者」を表します。
そこで、Aの横に未成年の「未」、Bの横に法定代理人の「法代」とメモしておきましょう。

②アルファベットで関係を表現する

図の「①S」を例にとりますと、
「①」はイベントの順番を表し、「S」は「Sales」(売買)を表します。
このように、よく使われる取引はアルファベットを決め打ちしておくと便利!


③関係を矢印ではっきりさせる

Kindle本で紹介しているとおり、わたしは矢印を多用しています。
そのうえ、矢印(取引)二重線(関係)をつかいわけて関係を区別しています。
これにより全体像をわかりやすくしているのです。
問題を解く前に、図を書いて、AとBとCがどのようなポジションにいるかを把握しておきましょう。

再掲するとこうなります。


上図を踏まえてそれぞれの選択肢を見ていくことに なります。
ここでは4番の選択肢をピックアップしてみましょう。


図をどんどんバージョンアップしていこう

4)はこのような肢です。

4)本件売買契約につき、Bが追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに甲建物をDに売却した場合、BがDへの売却について追認していない時でも、Aは制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことができなくなる。

少し長いので、この文章を2つに分けてみましょう。
まず前半部分。「本件売買契約につき、Bが追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに甲建物をDに売却した場合」まで。


ここで新しく「D」という登場人物が出てきましたね。
Aに売却した後、Dに売却しているので、取引の順番も重要になってきます。
次のようになりますね。



つぎに後半部分。
BがDへの売却について追認していない時でも、Aは制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことができなくなる。」

ここで注意すべきは主語です。
この文章では「誰が何をしたのか」が非常にわかりにくい!
2回ほど読みかえすと、この文章全体の主語が「A」であることがわかります。
つまり、4)の論点は「Aがこの売買取引の取消しができるかどうか」なのです。


図に書くとこうなります。

ここでようやく知識レベルに落とし込めます。

ここで聞かれている知識は、なにか?
じつは単に制限行為能力者の「原則」を聞いているのです。

前半部分で「Bが追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに」とあるので、Aが未成年のままBからの同意を得ていないのにDへ転売したわけですよね。

だったら、原則どおり「未成年の法律行為は取消可能」となるわけです。
4)では、CがDに転売したという事実関係を絡めていますが、もし転売しなかった場合でも、AはCに取り消すことができます。

図で書くとこのようになります。


取消OK!対抗要件に沿って言うと、AがDに勝利します。(win)

このようにまず図を作ってみる。
それから、制限行為能力者の「原則」「例外」「第三者への対抗要件」の知識を反映していく作業をすると、難問でも対応できるようになるのです。

GWまでに作図をマスターしておこう。

逆算すると、10月の試験に間に合うためには、権利関係(民法)は今すぐ取り組みたいです。

さらに「作図メソッドの研究」「問題対応力の養成」「本試験レベルの慣れ」を考えると5月までには、自分なりの作図方法を習得しておくと俄然有利になります。


その手助けとなるように私も情報発信していきたいと思っています。
何度もいいますが「民法を制するものは宅建士を制する」のですから。


【関連記事】「なぜ民法を制するものは宅建士を制するの?」とお思いのかたはこちらの記事を!


【ご参考】「宅建作図(応用編)」の書籍の紹介ページはこちらになります!

この記事を書いたのは私です

ケンタ
ケンタ
1級ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士。
【経歴】1977年兵庫県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、多種の業界で管理部門をほぼ経験しました!(IT、経理、経営企画、財務、人事、マーケティング)
【得意分野】人生設計やプラン作成、分かりやすく説明したいです。
【趣味】カフェめぐり(日本全国のスタバ旅など)グルメ、ストイックな勉強。

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