今回は「孤独の科学」という本をご紹介します!
今回、「孤独の科学—人はなぜ寂しくなるのか」を読んでみて発見したことがあります。
その発見とは「金持ちになりたいなら、まずは幸せになりなさい」という見地です。
本書から抜粋してみます。
横断調査のデータから家計収入と幸せには関連があることがわかった。しかし、家計収入が多くとも幸福度の増大につながるわけではなかった。言い換えると、これ以上収入が増えても幸福度は増さなくなる限界があるということだ。
孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか (河出文庫)
たしかに収入と幸せとの関連性は見られたが、考えていたのは順序が逆だった。
幸福感が強まると、結果として収入が増えると予測できたのだ。
そして、幸福感から高収入が予測できるのは、孤独感が弱まることが少なくともその一因だった。
一般的には、「幸福になるためには、金が必要だ」というスローガンがわたしたちの脳内に埋込まれています。しかし、この本の筆者であるジョン・T・カシオポは逆の発想を提起しています。
金持ちになりたければ、幸福になりなさい、と。
これはコペルニクス的転換ですね。
ぼくたちはお金を稼ぐ前にまず幸福にならないといけないのです。
まず前提にあるのは、お金と幸福度は比例関係にないということです。
例えば、年収2000万円の人が2500万円へと昇給した場合と、年収300万円の人が800万円に昇給した場合では、同じ500万円の昇給でも全く効用は違います。
もちろん後者の方が満足度は高いのです。
それをふまえて、お金にすがらずにどうすれば幸せになるのでしょうか?
本書では、キーワードとして「社会的つながり」を挙げています。
もし私たちが、はるか遠い山の頂きを目指して苦労しながら進む孤独な巡礼者だとしたら、そして頂上に端座する導師に「健康と富と幸せを得るカギは何ですか」と尋ねることができたとすれば、私たちのデータによれば、彼の答えはきっと次のようなものになるはずだ。
「人は本来社会的な生き物です。その3つをすべて得るカギは、あなたにとっても、あなたの近くや遠くにいる人にとっても有意義で満足のいく、強い社会的つながりを築くことです。」
孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか (河出文庫)
一時期、弱いつながり(weak tie)という概念が市民権を得ました。
名前を知っているだけとかFacebookの友人としてつながっているだけという「弱いつながり」のほうが実用的な関係性であるという理論も聞いたことがあります。
しかし、カシオポ博士は「強い社会的つながり」こそが幸福への第一歩になると主張しているのです。
私自身も思うのですが、いくら孤独に強くなっても適切な社会的つながりを築かなければ本当に辛いということです。社会に適応できないのはやはりデメリットが多いんですよね。
本書でもこう述べられています。
私たちは、孤立感を覚えているときには、攻撃にさらされているようにも感じ、健康を損ね、人生がつまらなくなり、人と協力してうまい解決策を見つける能力が衰える。逆に社会的なつながりに満足していると、安心感を覚える。安心感があると、より創造的に考えられる。その上、ポジティブな情動を期待し、しばしばそれを味わう。
孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか (河出文庫)
孤独を感じている状況では、人は本来備えている能力が閉じてしまいます。
今はコロナ禍で大変ですが、孤独を回避して社会的なつながりをゆっくり構築していくことが重要です。
ここでのポイントは「ゆっくり」です。
焦って一気につながりを持とうとせず、家族や友人など身近なところからゆっくりと再構築していきましょう。
世界と人間関係は大きく変わりつつありますから。