今回は「グローバライズ」という小説をご紹介します!
久々に貴重な読書経験をしました。木下古栗さんの「グローバライズ」です。
この小説は「アメトーーク」という番組で光浦靖子さんが絶賛していましたので興味があったのです。
おかげで、斬新な読書体験となりました。
この「グローバライズ」という小説は12編からなる短編集なのですが、どれもこれもぶっ飛んでいます。
意味不明すぎて、挫折する人続出!
読書メーターを読むと分かりますが、「意味がわからずに挫折」「私にはまだ早かった」という声があがっており、もはや分かる人にしか分からないという小説ですね。
最初の短編は「天然温泉やすらぎの里」という小説。
読み進めていくと、二人の男性が銭湯を楽しんでいるシーンだと思いきや、最後の一行で「え?」となります。
そして、もう一度、読み返してみます。
何度読んでも理解不能。
下ネタというか人間の欲望の奥底を感じざるを得ません。
さらに「反戦の日」という作品。
もう意味不明の極地です。最後のシーンでこのような叫びがあるのです。
嵐山は眉をかっと跳ね上げて大きく息を吸い込むなり、途方もない声量で叫びを浴びせ始めた。
「総理大臣を殺したくなったことはないか!警視総監を狙撃したくなったことはないか!経団連会長の首を刎ねたくなったことはないか!
グローバライズ: GLOBARISE (河出文庫)
〜略〜
殺し屋のメルアドは知っているか!食い逃げではしごできるか!義務教育で半殺しを覚えたか
〜略〜
三時のおやつはLSDか!中国を三日で攻略できる策はあるか!アメリカに入国できない友達は沢山いるか!サイバーテロはお手のものか!
こんな調子で3ページにわたって意味不明な文章が羅列されているんですよ。
そして、小説自体のオチがまったく無視されているという。
ひとつ注意しておきますが、木下さんにストーリー性を求めてはいけません。
読書をシンプルに楽しみましょう。
どれもこれも「下ネタ」と「暴力性」であらゆる語彙を駆使してストーリーを展開していくこの短編集。
その中で特に「道」という小説にはビックリしましたね。
ある僧侶が仕事場へ向かうために道を歩いていたのですが、その途中で中国人とおぼしき外国人から道をきかれます。
すると、僧侶が一気に豹変するのです。
そして中国語まがいの漢語を使っていきなり欲望丸出しの表現をし始めます。
実に5ページに渡って。
この文字をたどっていくと面白いんですよ。
「読む」のではなく、ひたすら漢字を辿っていくと分かります。
おもわず途中で私は吹き出しましたね。
「グローバライズ」という短編小説を読んで、吹き出してしまった。もうね、既成概念ふっとばす本です。
ちなみに私が吹いたのは「道」という小説です。 pic.twitter.com/YAT2calurI— kentasakako (@kentasakako) 2017年4月5日
相も変わらず、物語としてのオチを完全に無視してくれます。
既成概念をぶっ飛ばしてくれて爽快なのです。
私はこの小説を主に移動の電車内で読んでいましたが、吹き出すリスクを想定していませんでした。
小説を読む場所というのは気にしないといけませんね。
意味不明なことが好きな人、既成概念をぶっ飛ばしたい人は是非「グローバライズ」を読んでみてください。
木下古栗ワールドが斬新すぎてついていけない人も多いでしょう。
安心してください。それがきっと「普通」ですから。
普通でない作品を求める人にはうってつけですよ。