アルバイトで再就職が内定したけど、再就職手当をもらえるかな?
今回はそのような方向けの記事です!
さて、私は2016年にパートタイムの再就職が決まりました。
再就職が決まった際、ハローワークから「就職祝い金」のようなお金をもらいました。
その名を「再就職手当」といいます。
この制度の基礎については検索すればいくらでも出てきますので、今回は私が実際に受給した再就職手当での留意点をお伝えしたいと思います。
雇用保険の条件を満たして失業した場合、ハローワークから失業手当(正式には「基本手当」)が受給されます。
そして基本手当の受給中に内定が決まると、「再就職手当」をもらえる可能性があります。
そのためにはいろいろな条件が必要となりますが、それは後述しますね。
さて、重要なことは、支給される金額が就職のタイミングによって異なるということです。
つまり、早く就職すればより高い手当がもらえるのです。
たとえば、基本手当日額が5000円、所定給付日数が90日の人
60(日)×70%×5000円=210,000円
比較的早めに就職すると70%の支給率で計算されます。
ところが、もし1日でも遅く就職したらどうなるでしょうか?
支給残日数が59日になれば、所定給付日数の3分の2以下になってしまうので、支給率は60%に落ちてしまいます。
つまり、計算式は以下になります。
59(日)×60%×5000円=177,500円
就職日が1日遅れるだけで32,500円もの金額がちがうことになります。
実際に私はたった一日入社が遅くなっただけで、支給率が60%から50%に落ちてしまいました。(注1)
たった一日の遅れで5万円以上も損してしまったのです……。
再就職手当をもらいたい人は、まずは支給残日数を計算して就職目標日を決めましょう。
「●月●日までに再就職したら70%の支給率なので、それまでに就職を決めよう」
このように逆算する力が必要となるのです。
(注1)2017年1月から再就職手当の支給率がそれぞれ60%→70%、50%→60%へ引き上げられました。
私が再就職した2016年はまだ60%と50%の時代だったのです。いろいろな意味でもったいなかった。
そのため、このような結論をくだす人が多いでしょう。
早く再就職すればその分多めに再就職手当をもらえるから得ですよね。
じゃあ、早く再就職しないと!
しかし、再就職手当をもらわないほうがいいケースもあります。
少しマニアックな話になりますが、再就職手当というのは受給したから基本手当の権利がすべてなくなるというわけではないのです。一度再就職手当をもらったからといって、もらえたはずの基本手当が消滅するわけではありません。
どういう意味なのか?
それについてはまた別の記事で説明することにしますね。
私がパートタイムの内定をもらったとき、再就職手当をもらえるかどうか不安でした。
なぜなら、再就職手当を受給するにはさまざまな要件があるためです。
ちょっと長いですが、その条件を抜粋してみましょう。
(長すぎるので、さっと目を通すだけで大丈夫です。)
■ 再就職手当の支給を受けるには下記のすべての要件を満たす必要があります。
「ハローワーク(再就職手当のご案内)」より
① 受給手続き後、7日間の待期期間(※)満了後に就職、又は事業を開始したこと。
② 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
③ 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
④ 受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
⑤ 1年を超えて勤務することが確実であること。
(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。)
⑥ 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
⑦ 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始に係る再就職手当も含みます。)
⑧ 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
⑨ 再就職手当の支給決定の日までに離職していないこと。
※待期期間中に仕事等をしたことにより失業の状態でなかった日や、失業の認定を受けていない日については、待期期間に含まれませんのでご注意下さい
私がこの9つの要件の中で、もっとも懸念したのは⑤「1年を超えて勤務することが確実であること」という項目です。
それ以外は全てクリアしたはずですが、1年を超える就労になるかどうかの判断がつきませんでした。
契約上の雇用形態が「パートタイム契約」だったからです。
一般的にアルバイトやパートなどの勤務形態では、「再就職手当」ではなく「就労手当」と呼ばれるものが支給される可能性もあるようです。
「就労手当」の場合、支給率が60%どころではなく、30%しか支給されません。
なんとしてでも「再就職手当」に適用されたいところですね。
そこで、アルバイトやパートタイムの場合は「1年を超えて勤務することが確実である」ことが証明される必要があります。
それを証明する書類がハローワークから渡される「再就職手当調査書」です。
これは、事業主が就職初日からの1ヶ月以内の勤務状況を記載するもので、再就職手当を支給されるかどうかを判断するために使う書類です。
この「再就職手当調査書」を事業主に書いてもらう段になって、私は大事なことに気づきました。
初回の契約期間が3ヶ月だったのです。
契約期間が3ヶ月では、「1年を超えて勤務することが確実」ではないよね、きっと。
「今回は再就職手当はもらえないだろうな」とあきらめました。
しかし、奇跡が起こりました。
ハローワークに所定の書類を提出して1ヶ月強で再就職手当の「支給決定通知書」が届いたのです!
今回、私は「再就職手当」を受給できたわけですが、ここでの論点は「1年を超える勤務」にありました。
もう一度、上記の要件を見てみると、このような注意書きがあります。
(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、
つまり、ノルマなどで雇用期間が決まってしまう場合や、派遣で雇用期間が1年を超える勤務が見込まれない場合については「再就職手当」が受給できないのです。
しかし、事業主サイドが1年を超えて勤務する意図があるケースについてはたとえ初回契約期間が3ヶ月であろうと、「1年を超えて勤務することが確実」とみなされるのですね。
再就職手当の受給については、初回の契約期間にはあまり意味がないのです。
あくまで事業主が1年間を超えて勤務する予定であるかにかかっているのです。
「再就職手当」の支給が決定したらもう一つインセンティブが発生します。
それが「就業促進定着手当」です。
再就職手当の受給決定通知書と同時に「就業促進定着手当支給申請書」が送られてきます。
この「就業促進定着手当」というのは、再就職手当の受給者が継続して6ヶ月以上勤務した場合、かつ前職よりも賃率が低い場合に支給される手当金です。
つまり、転職したけど前職よりも給料が下がった人にハローワークが少し補填してくれるんですね!意外と太っ腹。
【追記】
残念ながら「就業促進定着手当」は受給できませんでした……
(以下は関連記事です)
ここで整理しておきます。
(1)どうせ再就職するなら、早く内定をとって、支給率が高い段階で再就職手当をもらいましょう。そのためには、事前に支給残日数を計算して逆算で目標就職日を決めましょう。
(2)パートタイムでもアルバイトでも1年を超えて勤務が見込まれるときは再就職手当が出ます。
自己判断せずに会社に「再就職手当調査書」を書いてもらってハローワークに提出しましょう。
ハローワークは失業率を下げたいために再就職に対しても様々なインセンティブを用意しています。
このような制度は熟知して有効に活用していきましょうね。