今回は「波のうえの魔術師」という小説をご紹介します!
「インベスターZ」という漫画の巻末に推奨図書として紹介されていた「波のうえの魔術師」を読んでみました。
文庫本で295ページという容量なので、電車でさくっと読めますね。
この小説のあらすじは以下となります。
ここで注目すべきは、白戸の最初の仕事が「株価(終値)を書き写すだけ」ということです。
たったこれだけの仕事なのに、白戸は値動き感という感覚を研ぎすますようになります。
この感覚が投資を始める際にとても重要なセンスなのです。
白戸は小塚老人のもとで投資家としてのアルバイトを続けます。
そのうち、投資について多くの学びを獲得します。
例えば、株式の空売りを開始する場面ではこのような思いをめぐらせます。
マーケットはただの揺れ動く数字の波にすぎない。
波のうえの魔術師 (文春文庫)より
そのころ読んだ金融工学の入門書にはそう書かれていた。株価は究極のランダムウォークで、過去の動きからつぎの値を予測することが不可能な純粋に気まぐれな数列だと、学術的に証明されているそうだ。
そんなものを相手に怒りの感情をぶつけても愚かなことかもしれない。
株式投資を実際にやってみると、株価は自分の思惑とはまったく違う動き方をします。
ここで覚えておきたいのは、「株価はランダムウォーク」だということです。
マーケットは気まぐれな動きをするので投資家がいくら努力してもコントロールできないのです。
これは重要なことですが、投資をする際は確率論的な考えが必要になります。
たとえば、ロスカットを●●%とあらかじめ決めておいて、あとは機械的に売買するべきです。
そうしないと、ずるずると負け戦を続ける可能性が高まります。
確率論で考えて、感情をコントロールしないと投資では負けます。
この小説では、空売りの恐怖が身にしみます。
以下のシーンはロシアのデフォルトによってルーブルが暴落した際の描写です。
どれほど優れていても、 人間は津波と闘うことはできない。
波のうえの魔術師 (文春文庫)より
おれは自分たちが、買いポジションを取っていなくて心底よかったと思った。
なにも知らずに相場を見ていたら、七月のまつば銀行の安値を大底とかん違いして、買い建てから相場を始めている投資家もすくなくなかったはずだ。
「空売り」というのは先に売りから入って、株価の下落を待って買い戻しを図る作戦です。
しかし、一つ大きな落とし穴があって、株価が上昇してしまうと当然買い戻さないといけないのです。
しかも、株価の上昇幅というのは理論的には無限ですので、株価が上昇すれば「青天井」に損失が膨らむのです。これが最大の恐怖。
初心者が空売りに手を出すと取り返しのつかない事態になるかもしれません。
私も投資でいろいろと失敗しましたが、空売りだけは経験したことがありません。
それだけがむしろ不幸中の幸いだったのかも。
投資家にとって一番必要なものは知識ではなく「精神力」なのかもしれません。