ステイホーム期間中、子供と一緒にお昼ゴハンを買いに行く日々が続きました。
その中で、近所にある定食屋さんが気に入っていつの間にか常連客となりました。
美味しいし、安い。
日替わり弁当が500円。
それだけではありません。
常連となった一番の背景には、販売していたおばさんの存在が大きかったのです。
こんな感じです。
・娘に話しかけてくれる。
・娘におまけ(唐揚げ)をくれる。
・私にも話をふってくれる。
・手作りのマスクを娘と妻にプレゼントしてくれる。
・「また明日」と言ってくれる。
このおばちゃんはコロナがあろうとAIが進もうと絶対生き残るわ。
何も根拠がないのにそう確信したのですが、ちょうど「10年後に食える仕事 食えない仕事: AI、ロボット化で変わる職のカタチ」(渡邉正裕著)を読んでいて、はっと気付きました。
ああ、このおばさんは「職人プレミアム」だからか!
このご時世、私も含めて皆さんも自分の職業が安泰かどうか気になると思います。
私はもう事務職しか経験がないので、恐怖の極みです。
いつ自分の仕事がなくなるかビクビクしながら20年も生きてきました。
そこで上述の「10年後に食える仕事 食えない仕事: AI、ロボット化で変わる職のカタチ」という本を熟読していたのですが、単なる事務職は消滅する運命にあることがわかりました。
その理由としてはAIやデジタルが解決しやすい次の3要素を兼ね備えているからです。
1️⃣ 業務に必要十分な情報を「デジタル形式」で取得できる。
2️⃣ AIが分析できる範囲内である。
3️⃣ 物理的に執行環境が整備されている。
たとえば、経理事務も基幹システムから簡単にデジタルデータをはきだせるのでExcelなどで簡単にアウトプットできます。
既得権益や規制などがからんでいなければ、事務職は真っ先に切られることでしょう。
それを回避するために、われわれはAIでは対応できない土俵にのぼる必要があるのです。
その土俵はどこにあるのでしょうか?
そこで、渡邉さんは「人間が強い、弱い」を横軸に「知識集約的か技能集約的か」を縦軸にして、以下のようなマトリックス図を紹介しています。
(著者の図をもとに再作成しました)
「AI化で消える仕事と残る仕事」を4象限で表現しています。
詳しくは本を読んでいただくとして、われわれはなんとかして機械が強い分野(上図の左側)から人間が強い分野(右側)に移行しなくてはなりません。
AIとは正面切って戦わないこと。
特に、インテリジェンス志向は「デジタル・ケンタウロス」を、技能志向は「職人プレミアム」を目指すべきです。
具体例をあげてみましょう。
「デジタル・ケンタウロス」は建築家、研究者、人事労務、コンサル、カウンセラー、ソリューション営業、SE、データサイエンティスト、法人融資、作家など。
「職人プレミアム」は車や家や保険のセールス、プログラマー、通訳、CA、料理人、美容師、パイロットなどです。
これらの仕事は人間の強みを最大に活かせるのでAI化が進んだとしても生き残ることができます。
そして私が就いている事務職という仕事は、上図でいうと「ロボティクス失業」なのでいずれ淘汰されてしまいます。
なんとかしないといけません!
話が逸れてしまったので軌道修正します。
さて、冒頭の弁当屋のおばさん(Cさん)なのですが、普通に考えると機械に代替されそうだし、技能集約型(?)なので「ロボティクス失業」のエリアに該当すると思うのですよ。
弁当を販売するだけでは特に付加価値がないし、PayPay のバーコードさえあれば事足りますから。
でも、Cさんは見事に人間の強みを活かしているのです。
つまり上図でいうところの「職人プレミアム」のエリアです。
なぜ職人プレミアムに該当するのか?
渡邉さんによると、人間の強みを活かせる業務とは具体的には5つを指します。
Cさんは上記条件をクリアしているのです。
2️⃣感情ワーク→私と娘のニーズを読み取ってくれている
3️⃣信用ワーク→私と娘から絶大な信用を勝ち取っている
4️⃣手先ワーク→マスクを手作りしてそれをプレゼントしている
Cさんは弁当を売っているように見えて、もっと大事なものを売っているのです。
それは、私と娘の思い出です。
コロナ禍によって小学校が休校になり、娘とずっと家にこもっていたことは一生の思い出となるでしょう。
そのときに一緒に思い出すのはこの弁当屋のことかもしれません。
「よく一緒にあの弁当屋いってたよね、そのときにこのマスクもらったよね」と。
これがもしロボット販売員だったらこうはいきません。
記憶には残らないからです。
われわれはもっと、人間にしかできない仕事に取り組むべきではないか。
と、弁当屋のおばさんが教えてくれたような気がします。
林業も機械化進んでいます。製材所も機械化進んでいます。まあ機械を操作する人はまだいりますけど。逆に機械をなるべく使わず、チェーンソーと軽トラだけでやる自伐型林業を提唱する人もいます。農業も機械化進んでますね。でも最後は人が関わってくるので、これも全部機械化は難しいかと。
宅建業はまだ機械に全部置き換わらないと思いますよ。コミュニケーションが重要な世界ですし。と言っても重説もロボットがやる時代がくるかもしれませんけど。(そうなったら、宅建士は35条書面と37条書面の記名押印のみするのでしょうか)
宅建業もAI化は必至ですよね。
今のうちにIT知識を蓄えておきます!