人生において絶対にしてはいけないことがあるし、超えてはいけないラインというものがあります。
そんなことを痛感したのがこの小説。
性犯罪の加害者からの視点。
そして、恋人からの観点からも性犯罪の罪と罰を考えさせられました。
簡単なあらすじは以下。
プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。
カメラマンの新夏は啓久と交際5年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が“出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。
この小説で、男性の性癖を「ブラックボックス」と例えていましたが、そうかもしれません。
女性から見ると、男性の性欲は本当にわからないものだと思います。
多種多様な性癖があり、もちろんその全てが社会的に認められているわけではありません。
これまで性犯罪について「加害者が一方的に悪い」という白か黒かの視点でしか見られなかったのですが、思考が浅はかでした。背景を見つめ直す必要もあります。
そして、なにごとにおいても自分の行為については、将来的にどんな影響があるかを想像する力が必要だと思いました。
現代では、より一層自己コントロール力が求められる……。
ほんの些細な出来心からでも、生涯にわたり傷跡がずっと残る。
一生、罪を負うのです。
極論を言えば、あなたが今後何も罪を犯さず、人生を終える瞬間に初めて「ほら、自分は大丈夫だった」と証明できたことになる。これから、一生かけてやっていくんですよ。
途方もなさに、めまいがした。
だって俺は、たったの一回、出来心でシャッターボタンを押しただけだ。
欲求不満でぎらついていたとか何かにむしゃくしゃしてたなんて動機もない。
人生には思いのよらないところに落とし穴が隠されているものです。
その落とし穴に落ちないようにすることは至難の業。
そして、「穴にはまった後にどのように対応するか」も重要です。
この小説でこのような記述がありました。
自分は、踏み外した。
踏み外して穴に落ちたようなものだと思っていた。啓久の実感では腰くらいの深さだった穴が、実は何重底にもなっている。次の穴、また、次の穴、と深みは続き、そこで瀬名や他の男たちももがいている。
一度落ちてしまったら、もう這い上がることができず、よくて今の場所をキープできるだけ。一生、変わらない。一度でも、女を同意なく「そういう目」で見て、実行に移したら、自らも「そういう目」でしか見られない。見られなければならない。自分自身にさえ。
自分の罪は透かしのように「神尾啓久」という人間の一部として離れないのだから。
人生には、確実に越えてはいけないラインと言うものがあり、そのラインを超えてしまうともう元には戻れなくなってしまいます。人生は不可逆的なものではありますが、「超えてはいけないライン」を超えてしまった場合は、不可逆的の度合いが絶望的なほど強烈になります。
そして、昨今は、SNSやメディアたたきが半端なく強いですよね。
市井の人々の注意が「道を踏み外した人たち」に向けられているため、 人生に躓いたらバッシングがえぐい。
でも、誰にも知られずにやり直すことなんて、本当にできるんだろうか。
どこに行ってもついてついて回るんじゃないのか。東京にはいくらでも会社があり、いくらでも人がいるのに、いつかはみんな啓久の罪に気づいてしまう。
〜中略〜
啓久が罪を忘れても罪が啓久を忘れない。
いちど罪を犯したら自分の中だけでなく社会からの制裁がずっとつきまとう。
私たちはこのような厳しい社会で生きているのかと思うと、常に油断できないですね……。
先日も羽田圭介さんの「タブートラック」の書評でも述べましたが、 将来的にはもう少し寛容な社会が待っていると信じたいです。
参考記事:ハラスメントの境界線がよくわからない今こそ読みたい羽田圭介の「タブートラック」
ストーリーの後半で、加害者である啓久は被害者女性の莉子に会うのですが、そのラストシーンでの一言がとても印象に残りました。
「恋とか愛とかやさしさより」という後半パートの短編小説タイトルも「なるほど」とうなづけました。
キーワードは「尊重」です。
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