最近は、「現代社会が抱える息苦しさ」をテーマとする小説を手に取ってしまいます。
金原ひとみさんの最新作「ヤブノナカ」もその一つ。
ある編集者と作家をめぐり、「ある告発」がされるストーリーですが、これがまた現代ならではの内容なのです。

ひとりの中年男性として、現代社会がいかに複雑か考えさせられました。
いまの社会は窮屈ではありませんか?
まるで、見えない監視カメラに囲まれているような心地がします。ささいな一言が炎上を招き、謝罪に追い込まれる光景を毎日のように目にしますし。
そういえば、去年紹介した羽田圭祐さんの『タブートラック』を読んだときも、同じような感覚を抱きましたね。
【参考記事】ハラスメントの境界線がよくわからない今こそ読みたい羽田圭介の「タブートラック」
先日も新聞を読んでいたところ、ある大臣の発言が問題視されている記事を見かけました。
「生きているうちに女性皇族を見てみたい」というような言葉が、撤回と謝罪を求められたそうです。
もはや、何を発言するのが正解で何がNGなのかが分からない状態……。
とくに公の場で発言する方々は、全方位に配慮しなければならず、うかつに口を開くこともできませんよね。
こうした息苦しい社会の中で、小説の登場人物である中年編集者「木戸悠介」の立場が痛いほどよく分かるのです。
自分はいろいろなことを、測りかねている。ずっとそんな思いの中にいた。
15年位前からうっすらと、10年位前からはっきりと、少しずつ時代の流れについていけなくなった。それは奇しくも世の中が激変している中途のことで、私は少しずつ自分が何を発言すべきで、何を発言してはならないのかを判断できなくなっていった。
自由に発言すれば、必ず誰かの安全基準に引っかかり、気をつけて発言していても、時に誰かを傷つけ怒らせた。何も言えなくなった後に待っていたのは、ただ消化していくだけの人生だった。
ヘマをしないだけの人生。それでも時々ヘマをして責められる人生。何の喜びもない人生。
こ、これは身に染みてしまう……。
小説の中で「理想郷の中にこもりたい」という表現がありましたが、みんなそう思っているかも。
今の社会は「多様性」に失敗し、ごちゃまぜのまま分断された社会が実現している気がします。
変化し続ける正解の文脈に合わせて、ビクビクしながら生活しなければならないのか。
わたしが思うに、ノンフィクションで本音を語ることはあまりにもリスクが大きすぎる世の中になったのかもしれません。
そこでフィクションです。小説で真実を語る。だからこそ、わたしは小説や漫画に触れたいという衝動に駆られているのかもしれません。
さて、金原さん特有のユニークな表現も、わたしのツボにはまりました。
たとえば、五松という編集者が上司の木戸に対して抱いているイメージの描写です。
一生ウイスキーを眺めて、そのままの形で餓死して保存状態の良いミイラとして2000年後くらいに発見されて、虚無という名前をつけられ、博物館にでも保管されればいい。
これ、個人的に面白かった。時空を超えた想像力よ!
また、作家の長岡が五松に対して抱いている印象も強烈でした。
五松さんはこんな死にかけのリスみたいな男だったろうか。
彼は厚顔だけど、詰めが甘く、器が小さいくせに、猫サイズのドブネズミみたいな厚顔なやつだったはずなのに、とまじまじ顔を見つめてしまう。
リスだのドブネズミだの……。
こうした毒のあるユニークな表現は、今のリアルな社会ではなかなか言えないかもしれません。
それ以外にも、作品の中では小説だからこそ描ける表現もたくさん出てきて、読みごたえがありました!
最近実感するのですが、中年男性という生き物は、社会の中で非常に孤独な立場に置かれがちです。
わたしはアラフィフ世代として、とくに「木戸悠介」という登場人物を自分のように捉えてしまいました。
彼はこんなことを思います。
中年男性が傷つくことは、世間的にも恥かしいことだからだ。
傷ついた中年男性は目も当てられないほど疎ましい存在だからだ。中年男性は誰からも慰めてもらえないからだ。何をしても「自業自得」と笑われるからだ。
同類の中年男性には、慰めてもらえるかもしれないが、そんなことをするよりは「傷ついていない自分」を装ったほうが楽だからだ。そして私は感情のない男になり、何一つ反論せず、静かに死のうとしていたのだ。
小説のなかでこの文章を読んだとき、得体の知れない衝撃を感じました。
「傷ついていない自分」を装い、ヘマをしないだけの人生を消化していく。
それは、今の日本を生きる多くの中年世代が抱える、言葉にできない恐怖かもしれません……。
最後に、この小説の構成も趣深いです。
目次をみるとズラッと登場人物が並んでいますが、よくみると線対称に並んでおり、最後に「リコ」で結ばれる感じ。

なぜ「リコ」がラストを飾るのか?
意外性がありそうなエンディングでは、ある「希望」を感じ取れましたが、はたして。
これまで本を書き、旅を重ね、資格取得を通じて「人生の再出発」を経験してきました。
現在は、2026年の行政書士登録に向けて準備を進めています。
わたしのテーマは「制度を理解して人生の次の一歩を支えること」。
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