2024年は100冊以上の本を読みました!
今年、印象に残ったつぎの3冊をご紹介。
① 「回遊人」吉村萬壱
② 「運転者」喜多川奏
③ 「競争しない競争戦略」山田 英夫
今年は、吉村萬壱さんが個人的にツボでした。
芥川賞作家なのに、大衆受けを狙っていない……。
日本語を巧みに操縦して、読者を選ぶようなマイナー路線を突っ走っていますが、そこが面白いのです。
過去にも「みんなのお墓」という小説の書評を書きましたが、今年はその他にも「CF」と「回遊人」という小説を読みました。
とくに「回遊人」は日本語の表現が多彩で、1つの文章が長いのにしっかりと読ませてくれます。
「え、これをこんな表現するのか?」と 度肝を抜かれる。
たとえば、このパート。
女の皮膚は象だった。頭から砂を被ったような乾燥して痛み切った髪の毛、周囲の肉に押しつぶされて指を入れる隙間もない乾いた股間。岩石と見紛うばかりの足の裏を数分で確認し終えると、残り時間は苦痛でしかなくなった。
倫理上、ここまでしか書けませんが、この後の文章で思わず吹き出してしまったことが私にとって印象的な読書体験でした。
続いては「運転者」という小説です。
自己啓発的な小説のように思えましたが、なぜか年末になっても心に残る小説となりました。
タクシードライバーの話ですが、「運転手」ではなく「運転者」。
「運を転がす者」としての役割を担っていることがキャラクターとしても際立っています。
物語を通じて「運」について考える機会となりました。
キーワードは「機嫌」です。
運転者は機嫌についてこのように語ります。
「とにかく大事なことですから忘れないでくださいよ。
運が劇的に変わるとき、そんな場と言うのが人生にはあるんですよ。それを捕まえられるアンテナがすべての人にあると思ってください。そのアンテナの感度は、上機嫌の時に最大になるのです。
逆に機嫌が悪いと、アンテナは働かない。最高の運気がやってきているのに、機嫌が悪いだけでアンテナが全く働かないから、すべての運が逃げていっちゃうんです。」
「基本姿勢が不機嫌な人に、毎日の人生で起こる幸せの種を見つけることなんてできない。」
これらのフレーズは心の芯から刺さりました。
会社帰りに品川駅を歩いているときにふと、行き交う会社員の目が虚ろなことに気づきます。
そして私もその1人。
残念ながら私も「基本姿勢が不機嫌」であるため、機嫌を調整することが難しいと感じてしまうのです。
どうすれば上機嫌になれるかというヒントも運転者は教えています。
「ちょっと損得から離れると良いですよ」
「損得から離れる?」
「自分が得しそうだと思ったら行動する。損しそうだと思ったらやめる。それがあまりにも当たり前になったように染み付いてしまっているんだと思います。もっと純粋に未知のものに対して「楽しそう」「面白そう」と思ってみていいんじゃないでしょうか」
損得勘定が強い私にとってチャレンジングなことです。
ただ、今年の後半から「面白そうなことのためにわざと損をする」こともやるようになりましたね。
最後は「競争しない競争戦略」。
何気なく読んだビジネス書ですが、実例が予想以上に盛り込まれており、ビジネスモデルの勉強になります。
タイトルどおり、「何も持たない中小企業や弱小個人がどのような競争戦略を練るか」という観点から読みすすめました。
「やらないことを決める」という事例では、「マニー」(技術ニッチ)や「大同生命」(チャネルニッチ戦略)「3M」 (マルチニッチ戦略)が参考になりました。
また、「トラスコ中山」の事例では、「とことん在庫を持つ」という逆張りにも見える戦略を掲げており、驚きました。「在庫は悪」という常識を覆していますが、これもトラスコ中山の合理的な戦略だとわかります。
とくに、面白いと思った事例はミュージシャンの「山下達郎」です。
商品やサービスではないのですが、本書では山下達郎を「限定量ニッチ」という視点で捉えています。山下達郎はやらないことを3つ公言し、限定量ニッチ戦略をとっているというのです。
限定量ニッチとは、「生産量や供給量を意図的に絞ることでプレミアム感を出し利益を加工する戦略」とのことです。
「山下達郎がやらない3つのこと」とは、
①テレビに出ない
②日本武道館(アリーナ)ライブはやらない
③本を書かない
たしかに、山下達郎はPV以外ではテレビで見たことない……。
この理由を知ると、とても優れた戦略だということがわかります。
音楽のクオリティーを追求し、量を追わず、職人的にニッチ路線をとってきた山下達郎は、活動開始から40年を超え、熱烈なファンに帰られ支えられ活動を続けている。
山下達郎をビジネスモデルの観点で分析しているユニークさよ。
ということで、来年も本を読み、本を書きます!
Kindleアンリミテッドだと無料で読める本が多いので、年末年始ぜひ読んでみてください!
ココナラで個人コンサルをしたり、電子書籍を書いたりしています。
Kindleでは、「FP問題集」や「宅建士の作図テキスト」「スリランカへのアーユルヴェーダ旅行記」、「睡眠薬の断薬ストーリー」などを出版中。
くわしくはこちらをごらんください!