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【行政事件訴訟法の準用関係おまとめ表!】本丸はズバリ「無効確認&執行停止」と「事情判決は準用なし」【重要度★★★★★】

行政書士試験まであと3日。本試験脳を取り戻す!
あと3日で過去問を解き直し、おまとめ表を見返して勉強はクランクアップです!

さて、おまとめ表を作成していたのですが、今回は「行政事件訴訟法の準用」についてです。
取消訴訟の規定が他の訴訟類型(他の5つの抗告訴訟や当事者訴訟)に準用されているかどうかは、超重要テーマ!


最近では2022年の本試験にも出題されていますね。



まず、つぎの問題を解いてみましょう!



行政事件訴訟法における取消訴訟の規定の準用に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

1 事情判決は、処分が有効であることを前提として処分に瑕疵があるにもかかわらず取り消しをしない制度であるから、その規定は、処分を無効であるとして提起する無効等確認訴訟に準用されない。

2 取消判決の拘束力の規定は、執行停止に準用されるため、 町議会議員の除名処分の効力停止決定がなされた場合、その拘束力により町選挙管理委員会は繰上補充による当選人の決定を撤回する義務を負うことになる。

3 無効等確認訴訟では、処分の無効を主張する原告が、処分が有効であることを前提とする処分の効力の停止を求めることは論理的に矛盾するから、執行停止の規定は準用されない。

4 原処分主義の規定は無効等確認訴訟に準用されるから、処分の無効等確認訴訟と処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟を提起することができる場合、審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟において、原告は、原処分の無効を主張することができず、裁決固有の瑕疵のみを主張し得る。

5 不作為の違法確認訴訟における違法確認の判決は形成判決ではないことから、不作為の違法確認訴訟には、取消判決の第三者効に関する規定は準用されず、また、第三者の再審の訴えに関する規定も準用されない。


さっとわかった方は、このページをそっと閉じてください。



正解は「3」です。

このような問題は、きちんと整理していないと普通にミスします。
まずは、テキストベースで「行政事件訴訟法」の主な準用をまとめてみましょう。



主な準用をリストアップしてみる

抗告訴訟全般への主な準用2つ

まず、 取消訴訟の準用関係は条文で言うと「第38条」に該当します。
少なくない数の準用事項が記載されていますが、絶対忘れてはいけないのが次の二つです。

  • ・被告適格(11条)
  • ・拘束力(33条)


特に「拘束力」は要注意です。
「違法確認」「無効確認」はもちろん、後に出てくる「当事者訴訟」でも準用されています。

また、「被告適格」について復習としておきましょう。
原則は「国」や「公共団体」でしたね。
ちなみに審査請求先の原則は「最上級庁」。


無効等確認訴訟への準用3つ

無効等確認訴訟に準用されている主な項目は次の3つ。

  • 原処分主義(10条2項)
  • 釈明処分の特則(23条の2)
  • 執行停止関連(25〜29条、32条2項)

ここでは、「原処分主義」と「執行停止」が準用されていることを押さえておきましょう。


不作為の違法確認の訴えへの準用2つ

不作為の違法確認はこの2つ。

  • 自由選択主義(8条)
  • 原処分主義(10条2項)

やはり「原処分主義」が重要。

当事者訴訟への準用4つ

当事者訴訟に準用されている主な項目です。

  • 行政庁の訴訟参加(23条)
  • 釈明処分の特則(23条の2)
  • 職権証拠調べ(24条)
  • 拘束力(33条1項)

うーん。出るとしたらやはり「拘束力」と「訴訟参加」かな。



「準用がない条文」をむしろ覚える

過去の出題傾向を考えると、むしろ「準用がない主な条文」も覚えておいたほうがいいかもしれません。

  • 10条1項(自己の法律上の利益に関わらない違法の主張)
  • 14条(出訴期間)
  • 31条1項(事情判決)
  • 32条1項(第三者効)

出訴期間については、取消訴訟(主観6ヶ月/客観1年)しか規定がありません。
この出訴期間が過ぎた後は無効確認ができるイメージ。

また、「第三者効」は他の訴訟類型に準用がないことはとても有名です。
(「訴えの利益」の判例でよく出てくる保育園のケースを思い出しましょう。「無効確認」とか「当事者訴訟」などは他の園児には影響ないから、第三者効のある「取消訴訟」がおすすめされましたよね)

あと、問題は「事情判決」。意外と忘れがちです。
事情判決は準用がないことをよく覚えておきましょう。


準用関係のおまとめ表をチェックしよう

試験に出そうなトピックだけを抽出するとこんな感じです。

他の抗告訴訟全般無効等確認不作為の違法確認当事者訴訟準用なし(取消訴訟だけ)
拘束力拘束力拘束力拘束力事情判決
被告適格被告適格被告適格行政庁の訴訟参加第三者効
執行停止原処分主義職権証拠調べ出訴期間
原処分主義

こうしてみると、無効確認訴訟の「執行停止」が難点かもしれない。
「違法確認」や「当事者訴訟」には執行停止が準用されていないことにも注意です!

あと、原処分主義は違法確認にも無効確認にも準用されていることも特徴的です。
事情判決は一度試験に出ていることもあるので、おさえないといかない。

試験に出そうなのは「無効確認&執行停止」「事情判決は準用なし」「拘束力&ALL」かな。


もう一度問題を解いてみよう。

これを踏まえて、冒頭の問題をもう一度考えてみましょう。

  • 1 事情判決は、処分が有効であることを前提として処分に瑕疵があるにもかかわらず取り消しをしない制度であるから、その規定は、処分を無効であるとして提起する無効等確認訴訟に準用されない。

事情判決という単語だけですぐに準用されないとわかります。
「○」です。

  • 2 取消判決の拘束力の規定は、執行停止に準用されるため、 町議会議員の除名処分の効力停止決定がなされた場合、その拘束力により町選挙管理委員会は繰上補充による当選人の決定を撤回する義務を負うことになる。

拘束力は準用されますね。
後半については、拘束力の具体例を述べているので、ここを試験中に詳しく検証するのは過酷。
とりあえず「△」としておきましょう。

  • 3 無効等確認訴訟では、処分の無効を主張する原告が、処分が有効であることを前提とする処分の効力の停止を求めることは論理的に矛盾するから、執行停止の規定は準用されない。

「無効確認と執行停止」のセットがよく出題されます。(2022年の問題にも出てきました)
無効確認は執行停止の準用がありますね。
「×」です。


  • 4 原処分主義の規定は無効等確認訴訟に準用されるから、処分の無効等確認訴訟と処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟を提起することができる場合、審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟において、原告は、原処分の無効を主張することができず、裁決固有の瑕疵のみを主張し得る。

原処分主義は無効等確認訴訟に準用されますね。「○」です。
後半部分は原処分主義の説明を述べています。

ついでに「原処分主義」は「不作為の違法確認」にも準用あることもおさえましょう。


  • 5 不作為の違法確認訴訟における違法確認の判決は形成判決ではないことから、不作為の違法確認訴訟には、取消判決の第三者効に関する規定は準用されず、また、第三者の再審の訴えに関する規定も準用されない。

第三者効は原則として他の訴訟類型には準用されませんでした。
なので「○」です。

なので、正解は「3」となります。

本問では、選択肢2に多少の検証が必要ですが、まとめ表をおぼえておくと簡単に解けそうですね。

また、地方自治法242の2-11では、住民訴訟へも準用規定があります(行訴法43条3項)
余裕がある方は押さえておきましょう。


あと3日。
去年とは比べものにならないくらい緊張しています……。



この記事を書いたのは私です

ケンタ
ケンタ
1級ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士。
【経歴】1977年兵庫県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、多種の業界で管理部門をほぼ経験しました!(IT、経理、経営企画、財務、人事、マーケティング)
【得意分野】人生設計やプラン作成、分かりやすく説明したいです。
【趣味】カフェめぐり(日本全国のスタバ旅など)グルメ、ストイックな勉強。