「いいマンガは2回読むべき!」と気づきました。
今回はこのマンガです!
このマンガのすごいところは「歴史」と「地学」と「哲学」が学べるという点です。
感銘を受けたところを共有してみます。
このタイトルである「チ。」には3つの意味が含まれていると思われます。
「地」「血」「知」
「地」はこの漫画のテーマとなっている「地動説」の「地」。
そして、「知」と「血」は?
修道院のバデーニはこう言います。
「既にこの世は道徳的なことで溢れかえっていませんか?そういう世界を変えるために何が必要だと思いますか?『知』です。
だからこそ適任者だけが丁寧に扱うべきなんですよ、アレは。」
そして、異端者審問官のノヴァクはこう言います。
「この仕事につくと気付くけど、異端は手段を選ばない。悪魔と結託してこの世界を変えようとする。それを阻止するために最も重要なもの、世界を今のままに保持するために必要なものは何だと思う?
『血』だ。」
「『地』動説」という「知」を伝承するためたくさんの「血」が流れている歴史。
今でこそ普及している「地動説」という真理が、多くの偉人たちを土台にしてきたストーリー。
存分に堪能しました。
最終集の8巻になると、佳境に差し掛かります。
「差し掛かる」と言っているのは、もう一度「第1集」に戻らざるを得ないからです。
「なぜこの登場人物がここに?」と「あれ、死んだはずではなかったのか?」と混乱するはず。
第1集を読み返すと、「なぜだ」とやはり混乱してしまう伏線ぶりよ。
そして最終話の最後の2ページ。
「?」で締めくくられるこのページがすべてを物語っています。
先生となったラファウはアルベルト少年にこういいました。
タウマゼイン。それは古代の哲学者曰く、知的探求の原始にある驚異。
簡単に言い換えると、この世の美しさに痺れる肉体のこと。
そして、それに近づきたいと願う精神のこと。
つまり、「?」と感じること。
そして最後の最後に、アルベルトは史上最大の「?」を発見するのです。
また、知的好奇心を満たすという欲求が人間の根源につながっていることも痛感しました。
何かを知るというのは至福です。
今、わたしが勉強できる環境がいかに幸福か、と。
最後にわたしが一番印象的だったのは、教会の告解室でアルベルト青年が告白するシーンです。(第8集)
何を信じるべきか、疑念と信心の矛盾に迷っているアルベルトに対して神父はこう言います。
聖アクイナスは知性を、一方では物体的で、他方では身体的と捉えました。
身体と魂、理性と信仰、哲学と神学、疑うことと信じること。これらの矛盾は両立します。
何故か?それが人間だからです。
さらに、こう続けます。
どうすればいいかわかりますか?単純です。
空を見ればいいのです。そして深く息を吸う。
わたしたちは困難を乗り越えられないわけではない、
空を見て息を吸い込んでください、と。
この助言が、いろいろと苦しんでいた私を楽にさせてくれました。
「空を見て息を吸う」という簡単にみえる行為は日常生活でなかなかできないものです。
一度空を見て、深く息を吸ってみてください!
なにかが吹っ切れます。
このマンガは学問的な面白さが話題となっていますが、このようなシンプルな箴言があるところがステキです。
序盤はストーリーが少し難しいかもしれませんが、終盤に入ると入り込んでしまいますので、ぜひ!
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くわしくはこちらをごらんください!