コロナで自粛期間中に「闇金ウシジマくん」を全46巻を再読しました!
ウシジマくんという漫画、リアル感が半端ないため読後感はおしなべて悪いんです。
でも、この物語を通じて学ぶことも多いです。
以前も少しこの漫画についてちょっと触れましたが、改めて秀逸な作品ですよね。
過去記事:不況に突入する前に読んでおきたいのが「闇金ウシジマくん」の7巻です。
今回もウシジマくんからの教訓を書きます。
コンプライアンスが厳しい昨今で闇金というビジネスを長年やっているウシジマくん。
彼は金銭に厳しく1円たりともムダにしません。
債務者や従業員にも1円の重みを実感させるシーンが何度も出てきます。
そんなウシジマくんですがえげつないほど冷徹なんです。鬼です。
中学生のときに「顎戸三兄弟」の三蔵の頭をバットでフルスイングしたのをはじめ、人身売買なども軽々と行ってしまうという人でなし。
しかし今回、ステイホーム期間にウシジマくん全巻を読み進めると私の心に響いたことがあります。
冷酷なはずのウシジマくんが人を褒めるシーンが出てくるんですよ。
その主な3人を紹介します。
まず一人目は第2巻「ヤンキーくん」で出てくる加賀マサル。
マサルが愛沢という輩に絡まれたシーンで、マサルはナイフで愛沢を逆襲します。
しかし、返り討ちにあって200万円を請求されるのです。
そのときのウシジマくんが意外な反応を示します。
マサル:「丑嶋さん、オレをここで働かせてください!200万円分ただ働きします!」
丑嶋:「いいよ。使えるかどうか試す!ウチで働け!」
愛沢:「なんでこんな奴……」
丑嶋:「3人対15人の状況で愛沢を刺したんだろ?」 「スゲーなお前!」
「闇金ウシジマくん(2巻)]
「そこ褒める?」という感じですが、やはり15人も敵がいる環境で一人を攻撃するという度胸ですよね。
作中ではウシジマくん自身も同じような状況を何度も体験しているので共感するところもあるのでしょう。
リンチに合っても「窮鼠猫を噛む」という姿勢がウシジマくんの評価を得たのと思われます。
やられたらやりかえせ、ということですよね。
しかし、このマサルが後々にえらい裏切りを展開するとはそのときはつゆ知らず。
第20巻からの「トレンディーくん」で登場した鈴木斗馬。
仕事のできるエリート会社員である斗馬は、妻帯者でありながら不倫を繰り返しいろいろな人を傷つけます。 ストーリーを見ていると本当に要領いいんですよ。
世間をうまく乗り切っている。
しかしストーリーの後半に彼は、傷つけた女性の彼氏のボコボコにされます。
そしてこうつぶやきます。
「俺は女の敵っスね」
それを聞いたウシジマくんはこう切り出すのです。
「いいんじゃねーの?敵を作れねェのは善人ぶって自分に嘘を付く弱い人間だ。自分の本心に向き合っている分マシじゃねーか。」
「闇金ウシジマくん(20巻)」
私もそうですが人に嫌われたくないために自分を殺してしまう人も多いと思います。
「嫌われる勇気」を読んでもその傾向は変わりません。
いたずらに敵を作ることは褒められたことではありませんが、やはり一度きりの人生です。
自分の本心に向き合って生きることも大事です。
善人ぶって自分に嘘をついていないか。
鈴木斗馬は反面教師となりえる点もありますが、一人焼肉などを行うストイックな一面もあります。
また自由奔放なところに惹かれますね。
もう少し自分の本心に従おう。
第30巻からの「フリーエージェントくん」で登場したのはマサルの友人である村上仁。
この「フリーエージェント」シリーズが雑誌掲載している頃はちょうどフリーランス界隈が盛況だった時期です。
「ブログやアフィリエイトで稼ぐ」「好きなことを仕事にする」といったスローガンが闊歩した世の中でした。
そういう意味でこのシリーズは時流に乗ったストーリーでしたね。
このシリーズの主人公である村上仁。
彼は取り組んでいたネットビジネスが低迷していても、いろいろ犠牲にしながらなりふり構わずチャンスをつかもうとします。両親や友だちの信頼を失ってまで。
その結果、彼は大成功を収めますが、人に恨まれるようなこともしていました。
母親はその被害者に対して「謝りなさい」と言いますが、ウシジマくんは村上にこのような言葉をかけるのです。
「何に謝るんだ?」
「闇金ウシジマくん(30巻)」
「おい、村上。お前、なんか悪さしたわけ?」
「マサルから聞いたぜ。お前は自分の全人生を賭けて勝負したんだろ?すげーじゃねぇか。なんもしてねぇー奴よりよっぽどマシだ。」
単純ですが、私はこのセリフを見てめちゃくちゃ励まされました。
「なんもしてねぇー奴よりよっぽどマシだ」と思えることができれば気が楽になったのです。
加賀マサル、鈴木斗馬、村上仁。
この3人はそれぞれ全くキャラクターが違いますが、共通点があるとすれば、 自分の心に正直に行動していることなんです。
われわれは「やれ他人に迷惑をかけるな」「自分を殺して他人に尽くせ」という空気の中で生活しています。
そんな中で自分の心に正直に生きられることは難しいのです。
それにしても、ステイホーム期間に46巻一気読みできてよかった。
家でヒマしている方はぜひ読んでみてください。