ここ数年間はずっと気が焦っていて、常に呼吸が浅い状態が続いていました。「タイムパフォーマンス」や効率にとらわれすぎているのかもしれませんね。いわば、「タイパ病」。
そんなときは、あえてストイックな世界をイメージすると、心を落ち着かせるヒントが見つかるかも。
先週は実家に帰省していたのですが、その旅路で松本清張賞受賞作「白鷺立つ」(住田祐著)を読んでみました。

物語の舞台となるのは、比叡山の「千日回峰行」というめちゃくちゃ厳しい修行の世界。
わたしは以前から「千日回峰」に少なからず興味がありまして。
千日回峰を達成すると「大行満大阿闍梨」という高貴な称号を得ることができます。しかし、その道のりは想像を絶するほどに険しく、命がけそのもの。
その修行の内容をざっくり整理すると以下のようになります。
「七年かけて約四万キロに相当する距離を歩き続け、その途中で九日間の断食・断水・不眠・不臥という過酷な『堂入り』に挑む。さらには、一度行に入れば途中でやめることは許されず、もし断念するならば自ら命を絶たなければならないという『行不退』の掟が存在する。」
この修行では、1日に30キロメートルから80キロメートルの険しい山道を歩くのですが、わたしの今のぬるま湯状況からはまったくイメージがつかない……。クレージージャーニーでみた「イーストウィンド」を彷仏としましたが、少し(だいぶ?)趣が異なりそうです。
【参考記事】クレイジージャーニーの「イーストウィンド」から学ぶ「極限状態のメンタル術」(ニュージーランド編)
さて、この作品には「恃照」と「戒閻」という二人の僧が登場します。
主人公である「恃照」は、かつて修行の途中で「三匝」を完遂できなかった過去を持っていました。
本来であれば掟どおりに自害すべきところを、やんごとなき身分のために「半満行」として「行き恥をさらす半生」を送ります。
そこへ弟子として現れたのが、若くて才能に溢れる「戒閻」。
この弟子がまた驚くほどに憎たらしく、師匠を全く敬わないおごり高ぶった姿勢を見せるのです。ただ、彼はとんでもなく優秀な成績を残して、順調に修行の歩みを進めていきました。そして、かつて師匠が失敗した「三匝」へと挑むことになります。
しかしその三匝の最中に、思いがけない事態に陥ります。
師匠を完璧に凌駕することに徹底した戒閻。ラストでは師弟関係の微妙な変化や、人間の弱さと強さが描かれています。
最後に恃照はこのように回想します。
齢というものは不思議なものにござりまする。先人らがいくつの頃に何を為したかという事績はいつでもこの恃照を惨めにさせまする。しかし、今は……何事も早う達することだけが、すべてではなかろうと、そのように思えてくるのでござりまする。
48歳になってから「あること」をやりなおそうとする恃照の姿勢にこそわたしは共感したのでございます。
それにしても……
七年間をかけてただひたすら同じ山道を駆け巡ることに、一体どのような意味があるのでしょうか。その答えを安易に求めること自体、「タイパ病」に毒されている証拠かもしれません。
この本はタイパとは真逆の世界観が描かれており、AIの進歩が著しい現代こそ味わう意味があると思いました。日々効率を追求している自分が脆弱であると思い知りましたし、何かをじっくりと待ち続ける「忍耐力」も著しく欠如していると感じました。
来年2026年は、わたしにとって新しい一歩を踏み出す「再出発の年」になります。
一年に一度は、この千日回峰のような極限の修行を思い浮かべてみよう。そして、効率を求める手を一度止めて、自分自身の精神を磨き直す時間を作りたいです。
みなさんも、この年末年始くらいは、タイパ地獄の喧騒からすこしだけ離れてみましょう!

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